Geminiのガイドラインとは|Geminiの出力と利用者の行動を決めるルール
Geminiのガイドラインとは、Googleが定めるGeminiの安全な使い方のルールで、Geminiが避ける出力と利用者の禁止行為の両方を定めています。
1つのページにまとまっているわけではなく、目的の違う複数の公式文書に分かれています。Geminiアプリを使う人が押さえておきたいのは次の3つです。
| 公式文書 | 誰に向けたルールか | 主な内容 |
|---|---|---|
| Gemini アプリのポリシー ガイドライン | Gemini(AI)側 | Geminiが生成しないように設計されている出力の種類 |
| Gemini アプリ ユーザー ガイドライン | 利用者側 | Geminiアプリで作ってはいけない・広めてはいけないコンテンツ |
| 生成 AI の使用禁止に関するポリシー | 利用者側(Googleの生成AI全般) | 違法行為やセキュリティ侵害など、生成AIでしてはいけない行為 |
3つは重なる部分が多いものの、主語が違います。ポリシー ガイドラインは「Geminiはこういう回答をしない」という設計方針で、ユーザー ガイドラインと使用禁止ポリシーは「利用者はこういう使い方をしない」という約束です。
Gemini側のルール|ポリシー ガイドライン
Gemini アプリのポリシー ガイドラインは、Geminiが社会に危害や不快感を与える回答を避けるための方針です。子どもの安全に対する脅威、危険な行為、暴力や残虐行為、事実と異なる有害な情報、ハラスメントや扇動・差別、性的描写が露骨なコンテンツの6つを、回避する出力として挙げています。
同じページでGoogleは、大規模言語モデル(LLM、大量の文章から学習して文章を生成するAIの仕組み)は確率的に回答を作るため、ガイドラインに反する出力や、過度に一般化した回答が出ることがあると認めています。ルールがあっても、Gemini自身の判定が常に正しいとは限らないということです。
利用者側のルール|ユーザー ガイドラインと使用禁止ポリシー
Gemini アプリ ユーザー ガイドラインは、利用者がGeminiアプリで許可されていることと、されていないことをまとめたページです。テキストだけでなく、画像・動画・音声の生成や、Geminiに操作を代行させる使い方にも同じルールが適用されます。
その土台にあるのが、Googleの生成AIサービス全般に適用される生成 AI の使用禁止に関するポリシーです。最終更新日は2024年12月17日で、違法・危険な行為、セキュリティの侵害、性的・暴力的・差別的な行為、誤った情報や人をだます行為の4つを禁止の柱にしています。
生成だけでなく配布も対象になる
ユーザー ガイドラインは、違反を2つの段階で捉えています。ガイドラインに反するコンテンツを作ろうとすることが「生成に関する違反」、Geminiで作ったものをガイドラインに反する形で共有・配布することが「配布に関する違反」です。
業務で見落としやすいのは配布のほうです。Geminiが問題なく生成した文章や画像でも、使い方によっては違反になります。たとえば、作成した文章を人間だけが書いたものとして公開することは、使用禁止ポリシーが挙げる「生成されたコンテンツの出所を偽る」行為に当たる可能性があります。
Geminiのガイドラインで禁止されていることの分類
ユーザー ガイドラインは、禁止事項を8つのカテゴリに分けています。下の表は、各カテゴリの主な内容と、業務利用で注意したい場面をまとめたものです。
| カテゴリ | 主な禁止内容 | 業務で注意したい場面 |
|---|---|---|
| 児童の性的虐待と搾取 | 未成年者を性的に扱うコンテンツ全般 | 業務で関わることはほぼないが、例外なく禁止 |
| 当人の合意なく作成された私的な状況のコンテンツ | 実在する人物の性的・親密な画像や動画 | 実在の人物の写真を素材にした画像生成 |
| 性的なコンテンツ | 性的なロールプレイや露骨な描写 | 広告やキャラクター設定の作成 |
| スパムと欺瞞行為 | 詐欺目的の大量配信、人をだますメッセージ | 一斉配信メールや請求関連の文面づくり |
| 危険行為および違法行為 | 自傷の方法、武器の製造、違法薬物の入手方法 | 安全教育や事故事例の資料づくり |
| 技術的保護手段の回避とシステム干渉 | 安全フィルタの回避、マルウェア、大量スクレイピング | セキュリティ検証や情報収集の自動化 |
| ヘイトとハラスメント | 保護対象の属性への差別、実在する人物へのいじめ | 人物を題材にした風刺やパロディ |
| 誤解を招くコンテンツ | 医療の誤情報、なりすまし、生成物の出所の偽装 | 健康関連の情報発信、生成画像の公開 |
表のうち、業務の文書作成で直接関わりやすいのはスパムと欺瞞行為、技術的保護手段の回避、誤解を招くコンテンツの3つです。たとえば、同じ文面を大量に生成して配信する使い方や、実在する人物の声や容姿を本人の同意なく使う動画は、悪意がなくても違反の例に近づきます。
使用禁止ポリシーで業務に関わる項目
Googleの生成AI全般に適用される使用禁止ポリシーには、業務利用に直結する項目がほかにもあります。
- 他者の権利の侵害:法律で必要な同意を得ずに個人データや生体認証データを使う行為
- 人間の監督のない自動判断:雇用・医療・金融・法律・住宅・保険・社会福祉などの領域で、個人の権利に大きく影響する判断をAIだけで行うこと
- 出所の偽装:生成したコンテンツを、人間だけが作成したものだと偽ること
採用選考の書類をGeminiだけで合否判定するような使い方は、2つ目の項目に触れるおそれがあります。判断の材料づくりにGeminiを使い、最終判断は人が行う形にしておくと、ポリシーの趣旨に沿った使い方になります。
AIエージェントを「どう作り、どう育てるか」を、GiftX記事制作エージェントの実物で解説。
例外として扱われる教育・ドキュメンタリー・科学・芸術
本来はガイドラインに反する内容でも、教育、ドキュメンタリー、科学、芸術(Googleは頭文字を取ってEDSAと呼んでいます)の文脈であれば、例外的に許可されることがあります。学術研究や、医療・科学分野の説明を目的とした内容がこれに当たります。
ただし、児童性的虐待のコンテンツ、当人の合意なく作成された性的なコンテンツ、違法行為の指示は、この例外の対象外です。研修資料や報告書のように目的がはっきりしている依頼でも、この3つは扱えないと考えておきましょう。
Geminiでガイドライン違反と表示される理由と実践的な対処法
Geminiに普通の依頼をしたつもりでも、ガイドラインを理由に回答を断られることがあります。理由の多くは、依頼の内容そのものより、依頼の言い回しや文脈の伝わり方にあります。
違反と判定されやすい依頼の傾向
Geminiは依頼の文面から危険性を判断するため、目的が伝わらないと、問題のない依頼でも禁止事項に近いと判定されることがあります。ポリシー ガイドラインでGoogle自身が、LLMは過度に一般化した判断をすることがあると説明しています。
断られやすいのは、次のような依頼です。
- 事故・犯罪・災害などの具体的な手口や手順を尋ねる依頼
- 実在する人物の写真をもとに、容姿や服装を変える画像生成
- 病気や薬について、診断や治療法の判断を求める依頼
- 特定の人物や集団を強い言葉で批判する文章の作成
- 暴力的な場面を含む物語や脚本の作成
いずれも業務で正当に必要になる場面があります。安全教育の資料や、小説・広告の企画などです。断られたときは、内容をあきらめる前に、目的と使い道が伝わっているかを見直します。
断られたときに確認する手順
ガイドラインを理由に断られたときは、次の順に確認すると原因を切り分けやすくなります。
- 依頼の目的と使い道を書き足す(例:社内の安全研修で使う事故事例の要約)
- 手口や手順そのものではなく、注意点や対策を尋ねる形に言い直す
- 実在する人物や団体の名前を外し、架空の設定に置き換える
- 新しいチャットで、短い依頼から試す
- それでも断られる場合は、その内容自体がポリシーの対象だと判断して扱いをやめる
4の新しいチャットを試すのは、長い会話の流れが判定に影響している可能性を除くためです。5まで進んでも断られる内容は、言い回しの問題ではなく、Googleのルール上扱えないと考えるのが安全です。エラーや上限など、ガイドライン以外の理由で止まっている場合は、Geminiのエラーの原因と対処法の確認手順も参考になります。
安全フィルタを外す「突破」はポリシー違反になる
インターネット上には、Geminiのガイドラインを「突破」「回避」するプロンプトを紹介する情報があります。しかし、ユーザー ガイドラインは技術的保護手段の回避を禁止事項に挙げており、違反の例として「セーフティ ガードレールの回避」を明記しています。使用禁止ポリシーでも、不正使用対策や保護フィルタを回避することは禁止されています。
業務で使っているアカウントでこうした操作を試すと、個人の問題にとどまらず、会社の利用環境にも影響が出かねません。断られた内容が業務に必要なら、目的を伝えて言い直すか、Gemini以外の手段を検討します。
違反が続くと警告や利用停止の対象になる
Googleは、違反の重大度に応じた段階的な措置を取るとしています。ユーザー ガイドラインに書かれている措置は、警告、特定の機能の利用停止、Geminiアプリやその他のGoogle製品・サービスの使用権の停止です。
アカウントが誤って無効にされたと思われる場合は、アカウントの通知バナーや通知メールに記載されたリンクから再審査請求ができます。Googleが状況を確認し、請求が認められれば措置は撤回されます。1回断られただけで措置が取られるとは書かれていませんが、同じ禁止事項に当たる依頼を繰り返さないことが大切です。
Geminiに入力したデータの扱い|個人向けとWorkspace版の比較
ガイドラインと合わせて確認しておきたいのが、入力したデータをGoogleがどう扱うかです。同じGeminiでも、個人のGoogleアカウントで使う場合と、会社が契約したGoogle Workspaceのアカウントで使う場合で扱いが変わります。
| 項目 | 個人向けGemini | Google Workspace版(対象エディション) |
|---|---|---|
| 人間によるレビュー | レビュアーが会話の一部を確認することがある | 人間によるレビューは行われない |
| AIモデルのトレーニング | アクティビティの保存設定がオンなら改良に使われる | 許可なくドメイン外のトレーニングに使われない |
| 会話の保存期間 | 自動削除は既定で18か月(3か月・36か月・無期限に変更可) | Geminiアプリは最大36か月(管理者が設定) |
| 管理する人 | 利用者本人 | 組織の管理者 |
表は、Gemini アプリのプライバシー ハブとGoogle Workspace の生成 AI に関するプライバシー ハブの記載をもとに、2026年10月時点の内容を整理したものです。業務で使うなら、どちらのアカウントでGeminiを開いているかを最初に確認します。
個人向けGeminiは機密情報を入力しない前提で使う
個人向けGeminiのプライバシー ハブは、人間のレビュアーが収集したデータの一部をレビューすることがあるとして、見られたくない機密情報は入力しないよう求めています。レビュー済みの会話は、アクティビティを削除しても最長で3年間保存されます。
顧客情報や未公開の社内資料は、設定にかかわらず個人アカウントには入れない運用が安全です。情報漏洩の経路と対策は、Geminiの情報漏洩リスクと会社利用の対策で整理しています。
オフィス系7職種のAI利用者669人の調査では、生産性向上を明確に実感した割合が、チャット中心の利用層14.3%に対しAIエージェント利用層54.3%。約3.8倍の差が見られました。
関連記事:Geminiアクティビティはオフにした方が良い?デメリット・学習させない設定・履歴削除
Workspace版では組織の保護がそのまま適用される
Workspace版では、アクセス権限やデータ損失防止(DLP、機密データの持ち出しを検知・防止する機能)など、既存の保護が自動で適用されます。ただし、ガイドラインの禁止事項は変わりません。データの保護は契約と設定で決まり、依頼してよい内容はガイドラインで決まると切り分けて考えましょう。
関連記事:Gemini for Google Workspaceとは?プラン別の機能・料金と管理者の設定
Geminiを会社で使うときの社内ルールの決め方
Googleのガイドラインは、会社として何をGeminiに任せ、どの情報を入力してよいかまでは決めていません。業務で使うなら、別に社内ルールが必要です。
GiftXが実施したビジネス職生成AI活用実態調査では、個人の課題として「どこまでAI活用していいか判断できない」が27.7%で最も多く、組織の課題では「利用ルール・ガイドラインがない」が19.1%でした(いずれも複数回答)。
詳細な調査データは「ビジネス職生成AI活用実態調査(2026年版)」にてご覧ください。
Googleのガイドラインと社内ルールは守る対象が違う
2つのルールの違いは、何を守るためのルールかにあります。Googleのガイドラインは社会と他者を危害から守るもので、社内ルールは自社の情報と業務の品質を守るものです。
| 観点 | Googleのガイドライン | 社内ルール |
|---|---|---|
| 守る対象 | 社会・他者の安全と権利 | 自社の機密情報・顧客情報・業務品質 |
| 決める人 | 自社 | |
| 主な内容 | 生成・配布してはいけないコンテンツ | 使うアカウント、入力してよい情報、出力の確認方法 |
| 違反したとき | 警告や利用停止など、Googleの措置 | 社内規程にもとづく対応 |
社内ルールは、Googleのガイドラインを前提にしたうえで、その内側に自社の線を引くものと考えると整理しやすくなります。
社内ルールに入れておきたい項目
社内ルールには、少なくとも次の項目を入れておくと迷いが減ります。
- 使ってよいアカウント:会社が契約したWorkspaceのアカウントに限るか、個人アカウントも認めるか
- 入力してよい情報:公開情報、社内限定情報、顧客情報など、情報の区分ごとの可否
- 出力の確認:社外に出す前に誰が事実関係と表現を確認するか
- 公開時の表示:生成AIで作成した画像や文章を公開するときの扱い
- 迷ったときの相談先:判断に困ったときに問い合わせる部署
「顧客名の入った打ち合わせメモは入力しない」のように、業務の場面で書くと現場が判断しやすくなります。策定は、公開ガイドラインや社内の利用場面をAIで整理して草案を作り、会議はレビューと判断に充てると、数か月かかりがちな作業を数週間に縮めることも考えられます。項目一覧と策定手順は生成AIの社内ガイドラインの作り方で解説しています。
関連記事:生成AIの社内ルールを作るテンプレート|公開ひな形の入手先と書き換える4条項
Geminiのガイドラインに関するよくある質問
Geminiで禁止されていることは何ですか?
児童の性的虐待と搾取、当人の合意なく作成された私的なコンテンツ、性的なコンテンツ、スパムと欺瞞行為、危険行為と違法行為、安全フィルタなどの保護手段の回避、ヘイトとハラスメント、誤解を招くコンテンツの8つのカテゴリが禁止されています。作ることだけでなく、作ったものを広めることも対象です。
Geminiのガイドラインは厳しくなりましたか?
Googleはポリシー ガイドラインのページで、Geminiの利用状況に応じてガイドラインを更新していくと説明しています。以前は通った依頼が断られる場合は、ルールの更新か、言い回しの判定が変わった可能性があります。目的を書き足して言い直し、それでも断られる内容は扱わないようにしましょう。
ガイドラインに違反するとアカウントは停止されますか?
違反の重大度に応じて、警告、特定の機能の利用停止、Geminiアプリや他のGoogleサービスの使用権の停止といった段階的な措置が取られる可能性があります。誤って停止されたと思われる場合は、通知バナーや通知メールのリンクから再審査請求ができます。
Gemini APIを使う場合もガイドラインは適用されますか?
適用されます。Gemini APIやGoogle AI Studioを使うと、不正行為の監視に関するルール、Gemini API追加利用規約、使用禁止ポリシーに同意したことになります。不正使用の監視のため、プロンプトと出力は55日間保持されます。
Geminiはセンシティブな画像を生成できますか?
性的に露骨な画像や、実在する人物を性的・親密な状況で描いた画像は生成できません。実在の人物の写真をもとにした画像の編集も、内容によっては禁止事項に当たります。教育や芸術の目的であっても、この2つは例外の対象外です。
まとめ|Geminiのガイドラインと社内ルールを分けて押さえる
Geminiのガイドラインは、Geminiが生成しない内容を定めたポリシー ガイドラインと、利用者の禁止事項を定めたユーザー ガイドライン・使用禁止ポリシーから成り立っています。禁止事項は8つのカテゴリに分かれ、作ることと広めることの両方が対象です。
ガイドライン違反と表示されたときは、目的と使い道を書き足し、手口ではなく対策を尋ねる形に言い直すと通ることがあります。安全フィルタを外す突破は、それ自体がポリシー違反です。データの扱いは個人向けとWorkspace版で異なるため、業務では会社のアカウントを使い、入力してよい情報を社内ルールで決めておきましょう。
Geminiを業務の流れに組み込む段階では、GiftXが1業務単位のAIエージェント構築を伴走支援しています。詳細はAIエージェント構築支援サービスをご覧ください。
AIを業務に組み込む進め方をご検討の方へ
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