Difyとは?できること・使い方・料金・ChatGPTとの違いを整理

Difyとは?できること・使い方・料金・ChatGPTとの違いを整理
目次

Dify を使うと、社内の規程や手順書を読み込ませて質問に答えるチャットボットを、コードを書かずに作れます。無料の Sandbox プランはアプリ 5 個・ナレッジ文書 50 件まで試せる枠ですが、この範囲だけで判断すると、モデルの利用料が別に発生する点を見落とします。

本記事では、Dify で作れるアプリの種類、クラウド版とセルフホストの選び分け、公式が公開している料金、ChatGPT の GPTs との違いまでを、公式情報をもとに整理します。読み終えたときに「自社で最初に作るとしたら何か」が 1 つ思い浮かぶところまでを目標にします。

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Difyとは?ノーコードでAIアプリを作れるオープンソースのプラットフォーム

Dify がどんな位置に立つツールなのかを、非エンジニアが1枚で掴めるようにする。中心に Dify を置き、左に「入力される材料」、右に「出力される形」を並べた中心-周辺型の概念図にする。

Dify とは、プログラミングをせずに AI アプリを作れるオープンソースの開発プラットフォームです。

チャットボット、社内文書を検索して答えるツール、複数の処理を順番に流す自動化フローなどを、画面上でブロックをつなぐ操作で組み立てられます。作ったものは Web アプリとして公開したり、API を通じて既存のシステムに組み込んだりできます。

関連記事:AIエージェントとは?生成AI・チャットボットとの違いと自社業務での始め方

Difyの提供元・ライセンス・読み方

Dify を開発しているのは LangGenius, Inc. です。公式サイトでは、GitHub で 15 万を超えるスターを獲得しており、導入企業として Maersk、Adobe、Google、Panasonic、PayPal などが挙げられています(出典: dify.ai)。

提供形態は 3 つに分かれます。マネージドの SaaS である Dify Cloud、自社サーバーや VPC 上で動かす Dify Enterprise、そしてオープンソースとして自分でデプロイする Community Edition です。Community Edition は Apache 2.0 をベースに追加条件を加えた「Dify Open Source License」で提供されています(出典: dify.ai)。

読み方については公式サイトに表記がありません。英単語の defy と同じつづりのため、日本語では「ディファイ」と読まれています。

なぜいまDifyのようなプラットフォームが注目されるのか

背景にあるのは、生成 AI を導入した企業の多くが「チャットで質問する」段階から先に進めていないという実態です。

GiftX が実施したビジネス職生成AI活用実態調査2026 では、AI 利用者の活用レベルは下表のように分布していました。都度チャットで質問したり成果物を作らせたりする段階、いわゆるチャット止まりが全体の 70.3% を占め、AI エージェントが複数工程を半自動で進める段階に到達しているのは 10.5% にとどまります。

活用レベル内容割合
L1都度チャットで質問・相談・調べ物28.1%
L2都度チャットで文章・資料・企画案を作らせる42.2%
L3自社の情報・業務手順を覚えさせ、繰り返し同じ品質で実行させる19.3%
L4AIエージェントが複数工程の業務を半自動〜自動で進める10.5%

同じ調査では、生産性が「明確に上がった」と答えた人の割合が、チャット止まりの層で 14.3% だったのに対し、L4 の層では 54.3% と約 3.8 倍の差がありました(全職種ベース)。組織側の課題としても「業務に組み込む仕組み・専門人材がいない」が 19.1%(複数回答)挙がっています。

つまり、成果の差はモデルの性能ではなく、自社の情報と手順を覚えさせて業務に組み込めているかどうかで生まれています。Dify は、その「組み込む」部分をコードなしで作れるようにするツールとして位置づけられます。

詳細な調査データは「ビジネス職生成AI活用実態調査(2026年版)」にてご覧ください。

Difyでできること|チャットボット・ナレッジ検索・ワークフロー・エージェント

Dify の4つの機能が「どこから手をつけて、どこまで進めるか」の順番になっていることを示す。左から右へ段階が上がる4ステップのプロセス図にする。

Dify の機能は、公式リポジトリで 7 つのコア機能として整理されています。Workflow、幅広いモデル対応、Prompt IDE、RAG パイプライン、エージェント機能、LLMOps、そして Backend-as-a-Service です。ここでは、非エンジニアが実際に作るものに引き寄せて 4 つの切り口から見ていきます。

社内向けのチャットボットを作る

最も入口になりやすいのが、質問に答えるチャットボットです。応対時のトーンや答えてよい範囲をプロンプトで指定し、公開範囲を決めるだけで動きます。

作ったアプリは、Dify がホストする画面としてそのまま使うほか、API エンドポイントとして呼び出したり、自社サイトに埋め込んだり、MCP ツールとして他のツールから呼び出したりできます(出典: dify.ai)。社内で試すだけならホスト画面のまま配れば済み、既存の社内ポータルに載せたい場合は埋め込みを選ぶ、といった使い分けができます。

社内文書を読ませて答えさせる(RAG)

RAG(Retrieval-Augmented Generation、外部情報を検索して回答に取り込む手法)は、Dify の中核機能の 1 つです。公式リポジトリでは、PDF や PPT など一般的な文書形式に対応した RAG パイプラインを備えていると説明されています。

公式サイトでは、この機能は Knowledge Pipeline として、ファイル、Web サイト、オンラインドキュメント、ドライブを取り込む仕組みとして紹介されています。規程集や手順書、過去の問い合わせ履歴を登録しておけば、「どこに書いてあるか」を人が探す代わりに、AI が該当箇所を引いて答えられるようになります。

汎用のチャット AI との違いはここに出ます。汎用モデルは自社の規程を知りませんが、ナレッジに登録した文書を参照させれば、自社の実態に沿った答えが返ってきます。

複数の処理を順番に流す(ワークフロー)

ワークフローは、複数の処理をビジュアルなキャンバス上でつなぎ、決まった順序で流す機能です。公式サイトでは Workflow Studio として、プロンプトのロジックを目に見える実行経路に変える機能と説明されています。

たとえば「入力された議事録を要約する」「決定事項と宿題を抽出する」「担当者ごとに整形する」といった処理を 1 本の線でつなぎ、毎回同じ手順で流せます。人が都度プロンプトを打ち直す必要がなくなるため、出力の品質が安定します。

自律的に判断させる(エージェント)

エージェントは、AI が自分でツールを選んで実行し、複数ステップの推論を行う仕組みです。公式リポジトリでは、LLM Function Calling または ReAct をベースにしたエージェント定義と、50 以上の組み込みツールが利用できると説明されています。

ワークフローとの違いは、手順を人があらかじめ決めるかどうかです。処理の順番が毎回同じならワークフロー、状況に応じて調べ方や使うツールが変わるならエージェントが向きます。最初はワークフローで固めて、判断が必要な部分だけエージェントに任せる進め方が扱いやすくなります。

関連記事:AIエージェントとは?非エンジニア向けに仕組みをわかりやすく整理|生成AIとの5つの違い

使えるAIモデルとツール連携

モデルは特定のベンダーに縛られません。公式リポジトリでは GPT、Mistral、Llama3 など数十のプロバイダーのモデルを統合できると説明されています。料金ページ上では、Dify が用意するメッセージクレジットで OpenAI、Anthropic、Gemini、xAI、DeepSeek、Tongyi のモデルを試せると記載されています(出典: dify.ai)。

また、公式サイトの Marketplace ではモデルプロバイダー、ツール、データソース、MCP 連携が公開されており、必要な部品を追加していく形で機能を広げられます。

Difyの使い方・始め方|クラウド版とセルフホストの選び分け

Dify を動かす方法は 2 つです。公式ドキュメントでは、Dify Cloud の管理プラットフォームを使う方法と、Docker Compose で自社インフラにセルフホストする方法が案内されています。どちらを選ぶかは、社内データの持ち出し可否と運用できる人の有無で決まります。

関連記事:【非エンジニア向け】AIエージェントの作り方|ノーコードで業務を自動化する5ステップ

まず試すならクラウド版

検証段階であればクラウド版が早く、アカウントを作ってブラウザ上で操作を始められます。無料の Sandbox プランがあるため、費用の申請を通す前に触って判断できます。

最初にやることは、使うモデルの設定と、ナレッジに載せる文書の準備です。モデルは Dify が用意するメッセージクレジットで試すか、自社で契約済みの API キーを登録して使うかを選べます。文書は、まず 1 つの業務で使うものだけに絞ると、回答精度の検証がしやすくなります。

社内データを外に出せないならセルフホスト

社内規程で外部 SaaS へのデータ持ち出しが難しい場合は、Community Edition を自社サーバーで動かす選択肢があります。公式ドキュメントに記載されている要件は次のとおりです。

  • ハードウェア:CPU 2 コア以上、RAM 4 GiB 以上
  • ソフトウェア:Docker Compose 2.24.0 以上(macOS は Docker Desktop、Linux は Docker 19.03 以上、Windows は WSL 2 上の Docker Desktop)
  • 構成:コアサービス 7 個、依存コンポーネント 7 個、初期化タスク 1 個の計 15 コンテナ
  • 手順:リポジトリを取得して docker ディレクトリへ移動し、.env.example から .env を作成して docker compose up -d を実行
  • 初期設定:起動後に http://localhost/install へアクセス

要件そのものは小さめですが、コンテナの更新やバックアップは自社で見ることになります。導入時の負担よりも、動かし続ける体制のほうが判断材料になります。

運用で見ておくのは 3 点です。1 つ目はバージョン更新で、オープンソースの更新頻度は高いため、いつ何を上げるかを決めておかないと差分が積み上がります。2 つ目はデータのバックアップで、ナレッジに登録した文書とアプリの設定が対象になります。3 つ目は監視で、コンテナが落ちたことに気づける仕組みがないと、業務が止まってから発覚します。いずれも社内のインフラ担当と分担を決めておけば済む話ですが、決めないまま本番に載せると担当が曖昧になります。

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最初に作るアプリの選び方

どちらの形で始めるにせよ、最初に作るものを 1 つに絞ることをおすすめします。判断に使う観点を 3 つの切り口で整理します。

向いている業務の条件

1 つ目は、答えの正解が社内文書に書いてあること。規程や手順書のように参照先がはっきりしている業務は、RAG との相性がよく、精度の評価もしやすくなります。2 つ目は、週に何度も発生すること。月に 1 回の業務では改善したかどうかの判断がつくまで時間がかかります。3 つ目は、失敗しても影響が小さいこと。社内向けの下書き生成のように、人が確認してから外に出る業務が向いています。

この 3 つを満たす業務は、多くの会社で社内問い合わせへの回答か、定型的な資料の下書き作成のどちらかになります。

最初の 1 つに向かない業務

向かないのは、判断の根拠が人の頭の中にしかない業務です。過去の経緯や関係者の温度感で結論が変わるような案件は、参照させる文書が存在しないため、AI に任せても精度が上がりません。こうした業務は、まず判断基準を文書に落とす作業が先になります。

検証の進め方

まず 20 件ほど実際の質問を用意して回答させ、人が正誤を確認する形が扱いやすくなります。この段階で外すのは、ナレッジに載せた文書が古い、質問の言い回しが想定と違う、参照範囲が広すぎるといった理由がほとんどです。原因が分かれば、文書を差し替えるか指示を書き換えるかで対処できます。

関連記事:AIエージェントの法人導入ガイド|PoCから本番運用までの5ステップと3つの落とし穴

Difyの料金プラン|無料で使える範囲と有料プランの違い

Dify Cloud の料金は、ワークスペース単位の年額で公開されています。年額表示の横には「Bill Annually Save 17%」と記載があり、月額課金も選べますが、月額の金額はページ上に表示されていません。以下は公式の料金ページに記載されている内容です(2026年7月時点、出典: dify.ai)。

項目SandboxProfessionalTeam
料金無料$590 / ワークスペース / 年$1,590 / ワークスペース / 年
メッセージクレジット2005,000 / 月10,000 / 月
チームメンバー1350
アプリ数550200
ナレッジ文書数505001,000
ベクトルストレージ50MB5GB20GB
ログ履歴30日無制限無制限
APIレート制限5,000 / 月なしなし

セルフホストは Community Edition が無料で、オープンソースライセンスの範囲で公開リポジトリのコア機能を使えます。エンタープライズ向けの Dify Enterprise は個別見積もりで、SSO や専任サポートなどが含まれます(2026年7月時点、出典: dify.ai)。

料金を読むうえで押さえておきたいのは、メッセージクレジットの位置づけです。これは Dify が用意したモデルを試すための枠であり、自社で契約済みの API キーを登録して使う場合は、モデルの利用料はそのベンダーへの支払いになります。つまり実際のランニングコストは、Dify のプラン料金とモデル側の従量課金の合計で見積もる必要があります。

無料の Sandbox はメッセージクレジット 200、アプリ 5 個、ナレッジ文書 50 件という枠です。1 業務で試して判断するには足りますが、複数部署で本格的に使い始めると早い段階で上限に当たります。

プランを選ぶときに効いてくるのは、金額よりもチームメンバー数とナレッジ文書数です。Sandbox は 1 名のみで、Professional でも 3 名までのため、複数人で運用を回すなら Team が前提になります。ナレッジ文書数も、規程集や手順書をまとめて登録すると 50 件は早く消化します。試用の段階で「何人が触るか」「何ファイル載せるか」を数えておくと、後からプランを上げ直す手間を避けられます。

セルフホストを選べば、これらの上限そのものが自社の判断になります。ただし無料なのは Dify のソフトウェア部分であり、サーバー費用とモデルの利用料は別に発生します。クラウド版との比較は、プラン料金と自社でサーバーを維持する手間のどちらを取るかという判断になります。

DifyとChatGPT(GPTs)の違い

「Dify と ChatGPT は何が違うのか」は、検索でもよく並ぶ疑問です。両者は競合するというより、担う範囲が違います。ChatGPT は完成した対話サービスで、GPTs はその中で独自の指示や文書を持たせたチャットを作る機能です。一方の Dify は、モデルを選んでアプリとして組み立て、外部に公開するところまでを扱うプラットフォームです。下表は、非エンジニアが判断に使う観点で両者を並べたものです。

観点DifyChatGPT(GPTs)
位置づけAIアプリを作って公開する開発プラットフォーム完成した対話サービスと、その中で作るカスタムチャット
使えるモデルGPT・Claude・Gemini など複数プロバイダーを切り替え可能OpenAI のモデル
処理の組み立てワークフローで複数処理を順番に実行できる対話の中で完結
外部への公開Webアプリ・API・埋め込み・MCPツールとして公開できるChatGPT の画面内で共有
自社環境での運用Community Edition をセルフホストできるサービス提供元の環境
向いている場面既存システムに組み込む、処理手順を固定したい個人やチームの手元で素早く試す

表のうち実務で効いてくるのは、下 2 行の公開方法と運用環境です。GPTs で作ったものは ChatGPT の画面の中で共有する形になるため、利用する人も ChatGPT のアカウントを持っている必要があります。一方 Dify は Web アプリ、API、埋め込み、MCP ツールという形で外に出せるため、既存の社内ポータルや業務システムの中に置けます。「作った人だけが使う」から「業務の導線に置く」へ進むときに、この差が壁になります。

運用環境も同じです。ChatGPT はサービス提供元の環境で動きますが、Dify は Community Edition を自社サーバーで動かせます。扱う文書に持ち出し制限がかかっている場合、この選択肢があるかどうかで導入可否そのものが変わります。

選び分けの目安はシンプルです。手元で完結する使い方、たとえば担当者が自分の作業を早くしたいだけなら GPTs で十分です。一方、決まった手順で毎回同じ品質の出力が欲しい、既存の業務システムから呼び出したい、社内データを自社環境から出したくない、のいずれかに当てはまるなら Dify のようなプラットフォームが必要になります。

もう 1 つの分かれ目がモデルの選択肢です。GPTs は OpenAI のモデルを前提としますが、Dify は公式リポジトリの説明どおり数十のプロバイダーのモデルを切り替えられます。用途によって Claude と Gemini を使い分けたい場合や、将来モデルを乗り換える可能性を残したい場合は、この差が効いてきます。

なお、両方を併用する形も成り立ちます。個人の試行錯誤は ChatGPT で行い、形になった手順を Dify のワークフローに移して全員が同じ品質で使えるようにする、という流れです。手元での試行を止める必要はなく、繰り返し使うものだけを移していけば十分です。

関連記事:ChatGPTとは?何ができる?使い方・料金・注意点を初心者向けに解説

Difyのようなプラットフォームで作れるアプリの実例

Dify そのものではありませんが、AI Growth Lab を運営する GiftX でも、RAG とチャットを組み合わせたアプリを社内・支援先で構築しています。Dify で作る場合にどのような形になるかをイメージしやすいよう、2 つ紹介します。

関連記事:AIエージェント活用事例10選|業務別・業界別に見る導入成果と進め方

社内ナレッジ検索を AI 化した事例

社内ナレッジ検索をAI化すると、資料を探す作業がどう変わるかを左右の対比で示す。左に導入前、右に導入後を置いた Before / After 型の図にする。

規程、議事録、過去の提案書といった社内ドキュメントを横断検索できる AI チャットを構築した事例です。「あの資料はどこにあるか」を人が探していた時間を圧縮し、同じ資料が何度も作り直される状態も防ぐことを狙いました。

資料探しにかかっていた時間は 1 回あたり約 15 分から約 1 分になり、探し物の時間は約 93% 削減しました。Dify に置き換えると、ナレッジに社内ドキュメントを登録し、チャットボットとして公開する構成に相当します。

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問い合わせの一次対応をチャットボットに任せた事例

FAQ、過去の問い合わせログ、注文ステータスを取得する API を連携し、問い合わせに一次対応する AI チャットボットを構築した事例です。配送状況、返品、受け取り方法といった定型的な質問に自動で回答します。

月 2,000 件をすべて人が対応していた状態から、月 1,200 件、およそ 60% を AI の一次対応でカバーできるようになり、応対工数は約 50% 削減しました。Dify で組む場合は、ナレッジに FAQ とログを登録し、外部 API 呼び出しをワークフローに組み込む形になります。

関連記事:AIカスタマーサポートとは?導入メリットと活用事例、失敗しない始め方を整理

Difyを1業務に入れたときに工数はどう変わるか

効果を具体的に見積もるために、社内問い合わせの回答業務を例に、導入前後を並べてみます。ここでは、管理部門で社内からの問い合わせを受ける担当者 2 名のケースを想定します。

項目導入前導入後
進め方規程PDFと過去メールを人が探し、該当箇所を読んで回答文を書く規程PDFをナレッジに登録し、回答ドラフトを自動生成。担当者は内容を確認して修正・返信
1件あたりの所要時間約12分約3分
週あたりの工数12分 × 60件 = 週720分(約12時間)3分 × 60件 = 週180分(約3時間)
削減率-約75%

時給 3,000 円で換算すると、週あたり約 4.5 万円、年間で約 230 万円相当の工数に当たります。ただし、この数字がそのまま人件費の削減になるわけではありません。空いた時間を別の業務に振り向けて初めて価値になります。

この試算で見るべきなのは金額よりも構造です。削減できたのは「探して読む」部分であり、「内容を確認して送る」部分は人が担ったままです。AI に全部任せるのではなく、判断の手前までを任せる設計にしたから、導入初日から使える形になっています。

Difyを業務で使う前に確認したい注意点

検証から本番運用に移す前に、確認しておきたい点が 3 つあります。いずれも、後から変えるのが難しい部分です。

ライセンスと商用利用の条件

Community Edition のライセンスは Apache 2.0 そのものではなく、追加条件を加えた「Dify Open Source License」です。オープンソースだから何をしてもよい、とは限りません。自社サービスに組み込んで外部提供する構想がある場合は、事前にライセンス本文を確認するか、公式へ問い合わせて条件を確認しておくと安全です。

データの扱いとセキュリティ認証

Dify は 2026 年 3 月 13 日の発表で、SOC 2 Type II と ISO 27001:2022 を 2 年連続で取得したと公表しています。SOC 2 Type II はデータのセキュリティ、可用性、整合性、機密性、プライバシーを対象とし、ISO 27001:2022 は情報セキュリティマネジメントシステムの認証です。GDPR については、データ処理契約の締結、プライバシーポリシーの維持、年次の処理活動記録の更新で対応していると説明されています(出典: dify.ai)。

ただし、この発表ではクラウド版とセルフホスト版で適用範囲がどう分かれるか、データの保持期間やリージョンがどうなるかまでは明記されていません。自社の規程に照らして確認が必要な場合は、公式へ個別に問い合わせる前提で計画を立てておくとよいでしょう。社内データを外部に置けないことが確定しているなら、最初からセルフホストで検証を始めるほうが手戻りがありません。

関連記事:生成AIで気をつけるセキュリティとは?主要リスクと企業がとるべき対策を解説

運用を誰が引き継ぐか

見落とされやすいのが、作った後の担当です。ノーコードで作れるということは、作った本人以外にも触れる可能性があるということでもあります。逆にいえば、誰が触ってよいかを決めておかないと、担当者の異動でアプリが止まります。

最低限、ナレッジに載せる文書の更新責任者と、プロンプトを変更してよい人を決めておくことをおすすめします。Dify のプランにはチームメンバー数の上限があるため、その枠の中で役割を決める形になります。

Difyでアプリを作り始めるときに陥りがちな3つの落とし穴

ここまで機能と料金を見てきましたが、実際に手を動かし始めた組織がつまずくのは、ツールの使い方以前の部分です。よく起きる 3 つを挙げます。

落とし穴1|いきなり全ての業務をDifyに載せようとする

最初から複数の業務を並行して載せると、どれも中途半端なまま検証が終わります。精度が出ない原因も切り分けられません。1 つに絞れば、うまくいかない理由がナレッジの中身なのか、指示の書き方なのかを特定できます。

落とし穴2|壮大なAI戦略から考えて手が止まる

全社の AI 活用方針を固めてから着手しようとすると、決めるべきことが増えすぎて着手が遅れます。方針は、動くものを 1 つ作ってからのほうが具体的に決められます。先に議論すべきなのは戦略ではなく、どの業務から始めるかです。

落とし穴3|既製のチャット型AIのままでは業務フローに組み込めない

汎用のチャット AI は自社の手順を知らないため、毎回の指示で補う必要があります。その状態では、担当者が変わると出力の質も変わります。自社の情報と手順を覚えさせ、決まった経路で実行させて初めて、業務フローの一部として扱えるようになります。

スモールスタートで1業務をAIエージェントに任せる

結論として、Dify のようなプラットフォームを検討するなら、対象を 1 業務に絞ってスモールスタートすることをおすすめします。社内問い合わせへの回答、定型的な下書き作成のように、参照先がはっきりしていて頻度が高く、人が確認してから外に出る業務が向いています。1 つ動けば、次に載せる業務の判断材料も社内に残ります。

GiftX では、こうしたスモールスタート前提の AI エージェント構築を 1 業務単位から伴走支援しています。詳細は AIエージェント構築支援サービス をご覧ください。

Difyに関するよくある質問

検索でよく並ぶ疑問を、公式情報をもとに整理します。

Difyの読み方は?

公式サイトに読み方の表記はありません。英単語の defy と同じつづりであることから、日本語では「ディファイ」と読まれています。

Difyは無料で使えますか?

使えます。クラウド版には無料の Sandbox プランがあり、メッセージクレジット 200、アプリ 5 個、ナレッジ文書 50 件の範囲で試せます。また、セルフホストの Community Edition はオープンソースライセンスの範囲で無料です(2026年7月時点、出典: dify.ai)。ただしモデルの利用料は別途かかる点に注意してください。

プログラミングの知識は必要ですか?

チャットボットやナレッジ検索を作る範囲であれば、画面上の操作で完結します。一方、外部 API との連携やセルフホストの構築、既存システムへの組み込みでは技術的な知識が必要になります。まずは非エンジニアが作れる範囲で 1 つ動かし、必要になった時点で技術部門に相談する順序が現実的です。

作ったアプリはどうやって社内に公開しますか?

公式サイトでは、ホストされた画面、API エンドポイント、埋め込み、MCP ツールという公開方法が挙げられています(出典: dify.ai)。社内で試す段階ならホスト画面をそのまま共有し、既存の社内ポータルに載せたい場合は埋め込みを選ぶといった使い分けができます。

クラウド版とセルフホストはどちらを選べばよいですか?

検証段階で、扱う文書が外部 SaaS に置ける内容であればクラウド版が早く始められます。社内規程で外部への持ち出しが難しい場合や、既存の社内ネットワーク内に閉じたい場合はセルフホストを選びます。ただしセルフホストは 15 コンテナ構成の維持と更新を自社で担うため、運用できる人がいるかどうかで判断してください。

まとめ

Dify とは、プログラミングをせずに AI アプリを作れるオープンソースの開発プラットフォームです。チャットボット、社内文書を参照して答える RAG、複数処理をつなぐワークフロー、自律的に判断するエージェントを、画面上の操作で組み立てられます。クラウド版は無料の Sandbox から試せ、有料プランはワークスペース単位の年額です。社内データを外に出せない場合は、Community Edition をセルフホストする選択肢もあります。

ChatGPT の GPTs との違いは、手元で完結させるか、決まった手順で全員が使える形にして既存システムに組み込むかにあります。個人の工夫を全社の仕組みに変える段階でこそ、Dify のようなプラットフォームが意味を持ちます。

そして最初の一歩は、機能の網羅ではなく対象業務の選定です。参照先がはっきりしていて、頻度が高く、人が確認してから外に出る業務を 1 つ選び、そこだけを AI エージェントに任せてみてください。1 業務が動いた実績は、次の投資判断を通すための最も確かな材料になります。

AIエージェントの構築を具体的に進めたい方へ

本記事で紹介した Dify のようなプラットフォームを使って、自社の業務でも具体的に進めたい、相談したいとお考えの方は、ぜひ GiftX AIエージェント構築支援までお問い合わせください。

GiftX AIエージェント構築支援では、貴社の業務に合わせて 1 業務単位のスモールスタートから本番運用まで、AIエージェント構築をワンストップで支援します。対象業務の洗い出しから、PoC、本番運用、社内ナレッジ化まで伴走します。

AI活用にご関心のある方は、ぜひ一度ご相談ください。

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朝山 高至
AIエキスパート

GiftXにてマーケティング・PdM・AI推進を担当。自社事業GIFTFULにて、AIエージェントを活用したマーケティング・営業業務の自動化を主導。

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