Muse Wonderとは|Metaが発表した最上位のAIモデル
Muse Wonderとは、Metaが開発した、複数の工程にまたがる作業をAIエージェントに任せるための最上位モデルです。
AIエージェントとは、目的に向けて計画を立て、検索やファイル操作などの道具を使いながら作業を進めるAIの仕組みを指します。Muse Wonderは、Metaが2026年4月に出した最初のモデル「Muse Spark」の開発で整えた土台の上に作られました。Metaの公式発表では、保険金の請求手続き、賃貸契約書の読み解き、アプリ開発といった、人が仕事や日常で抱える課題を例に挙げています。
学習には、Metaがギガワット規模と説明するデータセンター「Prometheus」が使われました。Metaは個人向けAIエージェント「Muse」を開発しており、Muse Wonderは今後そのMuseを動かすモデルにもなる予定です。
関連記事:Meta Museとは?できること・料金・日本での利用可否と安全性を解説
Muse WonderとMuse Wonder Fullの違い
Muse Wonderシリーズには、標準版のMuse Wonderと上位版のMuse Wonder Fullの2つがあります。どちらも入力できる情報の種類やコンテキストの長さは共通ですが、使える場所が大きく異なります。下表は、2つの違いを提供経路と料金の観点で整理したものです。
| 観点 | Muse Wonder | Muse Wonder Full |
|---|---|---|
| 位置づけ | 標準版 | より高性能な上位版 |
| モデルID | muse-wonder-1.0 | muse-wonder-full-1.0 |
| Meta Model API | 従量課金で利用可 | 提供なし |
| Muse Code | 従量課金とすべての月額プランで利用可 | Power Usage・Maximum Usageプランのみ |
| コンテキスト | 約100万トークン | 約100万トークン |
Muse Wonder Fullは、開発者向けのコーディングエージェント「Muse Code」の上位プランを契約した人だけが使えます。Metaの公式ドキュメントによると、Muse Wonderの推論設定を最大の「max」にしても、Muse Wonder Fullに切り替わるわけではありません。自分のシステムから呼び出したい場合は、標準版のMuse Wonderが対象になると考えておくとよいでしょう。
Active MemoryとActive Focusという2つの特徴
Metaは、Muse Wonderの特徴として「Active Memory」と「Active Focus」の2つを挙げています。いずれもMetaが付けた名称で、AIエージェントに仕事を任せるときに必要な性質を指しています。
- Active Memory:利用者にとって重要な情報を会話をまたいで覚えておき、いま取り組むタスクに関係する内容を自分から取り出して使う
- Active Focus:課題が難しくなっても別の方法を試したり、エラーから立て直したりしながら目標に向けて作業を続ける
Active Focusには、分からない点を確認したり、重要な操作の前に利用者へ確認を取ったりする動きも含まれます。人に代わって作業を進めるAIエージェントでは、勝手に重要な操作を進めない性質が安全面でも欠かせません。
Muse Wonderの仕組みとできること
Muse Wonderは、文章の生成だけでなく、計画を立てて長い作業を進めるところまでを想定して作られています。Metaの開発者向けドキュメントで公開されている仕様から、できることを3つの観点で整理します。
入力できる情報とコンテキストの長さ
Muse Wonderには、テキスト、画像、動画、音声、PDFを入力できます。PDF(Portable Document Format、文書のレイアウトを保って共有する形式)を含め、複数の素材をまとめて渡せる点が特徴です。一方で、出力はテキストのみで、画像を生成するには別のモデル「Muse Image」を使います。
コンテキストの長さは1,048,576トークンです。コンテキストとは、回答を作るときにモデルが参照できる情報の範囲を指し、トークンはモデルが文章を処理する単位です。長い契約書や複数の資料をまとめて読ませる使い方が考えられますが、渡す量が増えるほど料金と応答時間も増えます。
推論の深さは「minimal」から「max」までの段階で指定できます。Muse Wonderは2026年10月時点でプレビュー版として提供されており、仕様が変わる可能性がある点も押さえておく必要があります。
長時間のエージェント作業とコンピューター操作
Muse Wonderの公式モデルページでは、何時間もかかる複数工程のタスクを任せる用途が紹介されています。モデルが作業を計画し、一部をサブエージェントに割り振り、複数の道具を並行して呼び出しながら進める流れです。サブエージェントとは、全体の作業の一部を受け持つ補助的なAIエージェントを指します。
ブラウザ、デスクトップ、モバイルアプリの画面を見て操作する「コンピューター操作」にも対応しています。Metaの発表では、ブラウザと複数のアプリをまたいで、利用者の好みや予定に合わせたランニングの計画を立てる例が紹介されました。コーディングでは、大規模なリポジトリで複数のファイルを並行して変更し、その結果を確かめる作業を得意分野に挙げています。
AIエージェントを「どう作り、どう育てるか」を、GiftX記事制作エージェントの実物で解説。
法律・金融などの専門知識が要る作業
Metaは、法律、金融、健康といった専門知識が要る分野の評価にも力を入れたと説明しています。例えば法律分野では、元の文書を読み、細かな指示に従って法的な成果物を作るベンチマークを評価に使っています。
ただし、こうした分野で出力をそのまま判断に使えるという意味ではありません。契約書の要点整理や論点の洗い出しなど、人が最終確認する前提の下準備から試すのが無理のない進め方です。
Muse Sparkとの比較|性能と料金で使い分ける
Muse WonderとMuse Sparkは、同じMeta Model APIのエンドポイントで同じ形式のリクエストを受け付けます。そのため、モデルIDを書き換えるだけで切り替えられます。下表は、2つのモデルの違いを用途・料金・学習利用の条件で整理したものです(2026年10月時点)。
| 観点 | Muse Wonder | Muse Spark 1.3 |
|---|---|---|
| 公式の推奨用途 | 長時間・複雑な作業、複数ファイルのコード変更 | 大量処理、速さやコストを重視する処理 |
| 入力100万トークン当たり | 4.00ドル | 1.25ドル |
| 出力100万トークン当たり | 20.00ドル | 4.25ドル |
| 学習に使わせる代わりに安い枠 | なし | あり(Contributorモード) |
Muse Wonderは、Muse Spark 1.3と比べて入力が約3倍、出力が約5倍の単価です。単価はMeta Model APIの料金ページに掲載された2026年10月時点の金額です。Metaの公式ドキュメントでも、トークン単価より性能を優先したい長い作業はMuse Wonder、件数の多い分類や細かな道具呼び出しの繰り返しはMuse Sparkという使い分けを案内しています。
関連記事:Muse Sparkとは?Meta AIとの違い・APIの使い方と料金を整理
Muse Wonderの使い方|API・Muse Code・Museアプリの3つの入口
Muse Wonderを使う入口は、2026年10月時点で3つあります。自分のシステムに組み込むか、コーディング作業に使うか、個人向けアプリで使うかによって、準備するものが変わります。
Meta Model APIから呼び出す
API(Application Programming Interface、ソフトウェア同士が機能を呼び出すための接点)は、Muse Wonderを自分のアプリや社内の仕組みから使う入口です。Meta Model APIのアカウントとAPIキーを用意し、モデルIDに muse-wonder-1.0 を指定して呼び出します。
Meta Model APIはOpenAIのSDK(Software Development Kit、開発用のライブラリ集)と互換性のある形式で案内されており、既存のツールから接続先を切り替えて試せます。Metaの公式モデルページでは、複数のAIモデルをまとめて扱えるサービスのOpenRouter経由で使う方法も紹介されています。
Muse Codeで使う
Muse Codeは、ターミナルで動くMeta製のコーディングエージェントです。Muse Wonderは、従量課金でもすべての月額プランでも選べます。上位版のMuse Wonder Fullを使いたい場合は、Power UsageかMaximum Usageの月額プランを契約します。
月額プランで使う場合、Muse Code用に自動で発行される認証情報だけが定額の対象になります。追加で作ったAPIキーからの利用は従量課金になるため、どちらの経路で呼び出しているかを確認しておくと請求の取り違えを防げます。
関連記事:Muse Codeとは?使い方とClaude Code・Codexとの違いを整理
Museアプリへの搭載は今後
個人向けAIエージェントの「Muse」アプリでは、2026年10月時点でMuse Wonderはまだ使えません。Metaは、Muse Wonderを近いうちにMuseの機能に組み込み、まず有料の利用者から順に提供すると説明しています。
Museでは、資料などの成果物の作成や、より高い知能が要る処理にMuse Wonderを使う予定です。提供開始の時期は公式発表で示されていないため、アプリで使いたい場合は今後の発表を待つ必要があります。
Muse Wonderの料金|API単価とMuse Codeの月額プラン
Meta Model APIのMuse Wonderは、使った量に応じた従量課金です。下表は、Meta Model APIの料金ページとMuse Wonderの公式モデルページに掲載された2026年10月時点の金額です。
| 利用経路 | 料金 | Muse Wonder Full |
|---|---|---|
| API 入力(100万トークン当たり) | 4.00ドル | 提供なし |
| API キャッシュ入力(100万トークン当たり) | 0.20ドル | 提供なし |
| API 出力(100万トークン当たり) | 20.00ドル | 提供なし |
| Muse Code Power Usage | 月額50ドル | 利用可 |
| Muse Code Maximum Usage | 月額200ドル | 利用可 |
APIでWeb検索を併用すると、検索1,000回あたり2.50ドルが別にかかります(2026年10月時点)。Muse CodeにはEveryday UsageとHigh Usageのプランもありますが、確認した公式ページに月額の記載がなかったため、契約画面で確認してください。
全国8,000人調査で、AIの活用方法によって生産性向上に約3.8倍の差が生まれることが判明。
Muse Wonderを試す前に確認したいこと
Muse Wonderは発表されたばかりで、性能の数字だけで導入を決めると利用条件を見落としやすくなります。社内で試す前に確かめたい点を整理します。
入力内容がモデルの学習に使われる条件
Metaは、入出力をモデル学習に使わない「Standard」と、学習への利用を許す代わりに条件が良くなる「Contributor」の2つのモードを設けています。APIのMuse WonderはStandardのみです。
注意したいのはMuse Codeの月額プランで、既定がContributorモードのため、送ったコードや指示が今後のモデル学習に使われます。設定でいつでもオフにできるので、社内のコードを扱う前にモードを確認してください。
日本から使えるかの確認
Meta Model APIの利用地域に関するポリシーでは、利用を禁止する地域に日本は含まれていません。ただし、Metaは利用できる地域をいつでも変更できるとしています。本記事では日本からの登録や契約は試していないため、申込画面で確認してください。
Meta公表のベンチマークの読み方
Metaは、Muse Wonder Fullを他社の最上位モデルと並べ、エージェントの作業やコーディングの評価で上回る項目があると公表しています。公式モデルページでは、一部のコーディング評価について第三者による測定でも首位だったと説明しています。
ただし、数字は評価の条件や設定で変わり、安全性の詳しいレポートも発表時点では近日公開とされていました。自社で使えるかは、業務に近い課題で、いま使っているモデルと同じ条件で比べて判断するのが確実です。
最初に試す作業の選び方
最初に試すなら、複数の資料の読み比べや長いコードの段階的な修正など、既存のモデルでは途中で手が止まっていた長めの作業が向いています。単発の質問なら単価の安いモデルで足ります。結果を人が確認できる作業を選び、品質と費用を記録しておくと判断しやすくなります。
Muse Wonderのよくある質問
Muse Wonderは無料で使えますか?
Meta Model APIのMuse Wonderは従量課金で、確認した公式の料金ページに無料枠の記載はありません。Muse Codeでは月額プランでも使えますが、上位版のMuse Wonder Fullは月額50ドル以上のプランが必要です(2026年10月時点)。
Muse WonderとMuse Wonder Fullはどちらを選べばよいですか?
自分のシステムからAPIで呼び出す場合は、Muse Wonderしか選べません。Muse Codeでコーディングに使い、より高い性能が必要な場合だけ、上位プランでMuse Wonder Fullを検討するのが順当です。
Muse SparkからMuse Wonderに切り替えるには何を変えればよいですか?
同じエンドポイントで同じ形式のリクエストを受け付けるため、モデルIDを muse-wonder-1.0 に変えるだけで切り替えられます。ただし単価が上がるため、すべての処理を一度に切り替えず、性能が必要な処理から移すと費用を抑えられます。
MuseアプリではいつからMuse Wonderを使えますか?
Metaは近いうちにMuseへ搭載し、有料の利用者から順に提供すると説明していますが、具体的な時期は発表されていません。2026年10月時点でMuse Wonderを使えるのは、Meta Model APIとMuse Codeです。
Muse Wonderに入力した内容は学習に使われますか?
APIで使うMuse WonderはStandardモードのみで、Metaのモデル学習には使われません。Muse Codeの月額プランは既定でContributorモードになり学習に使われるため、必要に応じて設定でオフにしてください。
まとめ
Muse Wonderは、Metaが2026年10月13日に発表した同社最上位のAIモデルで、長時間の作業や複数の工程をまたぐタスクを任せる用途を想定しています。Active MemoryとActive Focusという2つの性質を打ち出し、コーディングやコンピューター操作、専門知識が要る作業を得意分野に挙げています。
2026年10月時点で使える入口は、従量課金のMeta Model APIと、コーディングエージェントのMuse Codeです。上位版のMuse Wonder FullはMuse Codeの上位プラン限定で、Museアプリへの搭載は今後の予定になっています。Muse Sparkより単価が高いため、性能が要る長い作業から試し、学習利用のモードと利用地域を確かめてから使い始めるのが安全です。
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