Claude Commerce Agentsとは|Anthropicが公開したEC向けAIエージェントの設計図
Claude Commerce Agentsとは、Anthropic が公開した、ECサイトの接客と店舗運営を担うAIエージェントの参照実装です。完成品のサービスではなく、自社のシステムにつないで動かす前提の「設計図」として、オープンソースでソースコードごと配布されています。
Anthropic は 2026年9月3日にこの参照実装を GitHub で公開し、あわせて公式ブログで設計の考え方を解説しました(出典: Building commerce agents with Claude)。ライセンスは Apache-2.0 で、商用利用や改変に制限はありません。
関連記事:Claudeとは?できること・モデル・料金・ChatGPTとの違いを整理
ショッピングエージェントとマーチャントエージェントの2役
この設計図には、役割の違う2つのエージェントが入っています。ショッピングエージェントは、事業者が自社のアプリやサイトに埋め込んで顧客に使ってもらうもので、商品を探して比べ、買い物の計画を立て、カートに入れ、注文や返品の質問に答えます。
マーチャントエージェントは、店舗のスタッフが裏側で使うものです。売上の実績を説明し、商品ページの内容を保守し、在庫や注文のアラートに対応し、価格や販促を考え、キャンペーンの下書きを作ります。マーチャント側の書き込みはすべて「変更案」として一度保留され、人が承認するまで本番には反映されません。
2つのエージェントはそれぞれ1回だけ定義され(指示文、スキル、ツールの契約、安全ゲート)、Messages API、Claude Agent SDK、Managed Agents という3つの実行基盤のどれでも同じ定義で動きます。同じ部品で4つの業種向けデモが用意されています。
製品ではなく「設計図」として配られている理由
公式の解説ページは、このリポジトリを「サポート対象の製品ではなく、オープンな参照実装」と位置づけ、fork して自分たちで所有して使うものだと明記しています(出典: Claude for Commerce)。README にも、保守は行わず外部からの貢献も受け付けないと書かれています。
これは欠点というより、性格の話です。EC の商品カタログ、カート、注文、在庫は事業者ごとに仕組みが違うため、誰かが完成品として提供することはできません。Anthropic が提供しているのは、モデルの周りに置くべき手順や道具や安全ゲートを「こう組む」と示す型であり、自社のシステムにつなぐ部分は導入する側の仕事になります。
登場する固有名詞は全部架空
リポジトリに出てくる企業名や商品名はすべて架空で、唯一の会社名は「ACME」です。デモを動かしても実際の注文や決済は発生しません。チェックアウトはカートの内容を画面に描くところまでで、支払いの完了は導入する側のシステムが担います。
なぜ今、Claude Commerce Agentsのようなコマースエージェントが必要なのか
ECにAIを入れる話は数年前からありましたが、多くは「商品について質問に答えるチャットボット」で止まっていました。Claude Commerce Agents が示しているのは、その先の「探す、比べる、カートに入れる、注文を確認する」までを一続きで任せる形です。
チャットボットと「買い物を進めるAI」の差
公式ブログは、ショッピングエージェントを導入した企業でカートが最大 35% 大きくなり、買い物客が購入を完了する確率が 60% 高くなったと報告しています(出典: claude.com)。ソリューションページでは、販売エージェント経由で小規模事業者の転換率が 40% 高くなった例も挙げられています(出典: claude.com)。
数字は導入企業の報告値なので、自社でそのまま再現できるとは限りません。ただ、質問に答えるだけのボットと、カートまで進めるエージェントとでは、売上への効き方が別物であることは読み取れます。
関連記事:AIエージェントとは?生成AI・チャットボットとの違い、仕組み・導入方法を解説
日本の企業はまだ「チャット止まり」が大半
GiftX が実施した「ビジネス職生成AI活用実態調査2026」では、AIエージェントが複数工程の業務を半自動で進める段階(L4)にある人は 10.5% にとどまり、組織の課題として「業務に組み込む仕組み・専門人材がいない」を挙げた人は 19.1% でした(複数回答)。ECの接客や運営も同じで、AIを試している会社は多くても、業務の流れに組み込めている会社は少数です。
Claude Commerce Agents は、この「組み込む仕組み」の部分を設計図として配っている点に価値があります。ゼロから設計する代わりに、動く型を fork して自社の仕組みに合わせて直すことができます。
詳細な調査データは「ビジネス職生成AI活用実態調査(2026年版)」にてご覧ください。
Claude Commerce Agentsでできること|2つのエージェントの5つの流れ
できることは、ショッピングエージェントとマーチャントエージェントのそれぞれに5つずつ用意された「流れ(スキル)」で整理できます。各流れはリポジトリ内のスキル定義ファイルとして分かれており、必要なものだけ有効にできます。
ショッピングエージェントの5つの流れ
顧客側のエージェントが担う流れは次の5つです。
| 流れ | 顧客から見える動き |
|---|---|
| 検索と比較 | 条件を言葉で伝えると、カタログを検索して候補を並べ、違いを比べて見せる |
| 買い物の計画 | 「キャンプに行く」のような目的から、必要な商品を組み合わせて提案する |
| カート操作 | 選んだ商品をカートに入れ、数量やオプションを調整する |
| 注文とポリシーの質問 | 注文状況、配送、返品条件などを、注文システムを参照して答える |
| 記憶 | 顧客が伝えた好みやサイズを覚え、次の会話で使う |
チェックアウトだけは例外で、エージェントはカートの内容を確認画面として描くところまでを担い、支払いは自社の決済導線に引き渡します。
マーチャントエージェントの5つの流れ
店舗運営側のエージェントが担う流れは次の5つです。
| 流れ | スタッフから見える動き |
|---|---|
| 実績の説明 | 売上や在庫の数字を、質問に応じて分析して説明する |
| 出品の保守 | 商品ページの記載を点検し、修正案を作る |
| 在庫と注文のアラート対応 | 欠品や遅延のアラートを受けて、補充や案内の案を出す |
| 価格と販促 | 値付けや販促の案を、影響する商品を明示して提案する |
| キャンペーンの下書き | 配信するキャンペーン文面の下書きを作る |
5つのどれも、書き込みは「保留された変更案」として積まれ、担当者が承認したものだけが本番に反映されます。エージェントが勝手に価格を変える、という事故が起きない設計です。
4つの業種で動くデモ
同じ部品を使って、4つの業種向けのデモが同梱されています。
| 業種(架空の店) | ショッピング側の見どころ | マーチャント側の見どころ |
|---|---|---|
| 小売(ACME) | 検索、比較、計画、カート、記憶を標準部品で実装 | 日次ダイジェスト、補充と出品修正の保留変更 |
| 旅行(ACME Travel) | 日付に縛られる在庫、旅程の提示 | 稼働率カレンダー、期間指定の料金変更 |
| 通信(ACME Mobile) | 契約状況の参照、プラン一覧、サーバー側で作る手数料の開示 | プラン構成の分析、規制で守られた手数料の保護 |
| エンタメ(ACME Tickets) | 時間制限つきの仮押さえ、キャンセル待ち、会場図 | イベントの進捗、仮押さえの解放、手数料を保った値付け |
自社に近い業種のデモから読み始めると、どの流れをどう作り替えればよいかが見えやすくなります。
AIエージェントを「どう作り、どう育てるか」を、GiftX記事制作エージェントの実物で解説。
Claude Commerce Agentsの使い方・始め方|4ステップ
参照実装なので、使い方は「試す、経路を選ぶ、自社システムにつなぐ、承認と停止の設計を決める」の4段階です。エンジニアがいない会社でも、ステップ1と4は担当者が主体で進められます。
ステップ1|デモを動かして、任せたい流れを見つける
リポジトリを clone し、Python 3.11 以上と Node 22 を用意して python scripts/run_demo.py retail を実行すると、API とストアフロントが手元で立ち上がります。--merchant を付けると運営側の画面が、--all で両方が起動します。各業種の README には試すべき会話の例が載っているので、まずはそれをなぞって「自社ならどの流れが効くか」を書き出します。
Anthropic の API キーが1本あれば動きます。ここではまだ自社データをつなぐ必要はありません。
ステップ2|3つの実行経路から自社に合うものを選ぶ
同じエージェント定義が3つの経路で動きます。
| 経路 | 向いている状況 | 特徴 |
|---|---|---|
| Messages API | 自社アプリの中で会話のループを自分たちで制御したい | 参照実装の基本形。ストリーミングでカート更新などのイベントを受け取れる |
| Claude Agent SDK | ループの制御は SDK に任せ、自社側は読み取りの先読みだけ持ちたい | 会話の前に必要なデータを取りに行き、ターンの後には何も動かさない |
| Managed Agents | 自社でサーバーを持たず、ホストされたエージェントに MCP サーバーだけ用意したい | マニフェストとストア側の MCP サーバーを配置して展開する |
迷う場合は Messages API から始めるのが素直です。3経路ともツールの実行は同じ実行器を通るため、安全ゲートは経路によらず効きます。
ステップ3|自社のカタログ・カート・注文をつなぐ
自社システムとの接続は、StorefrontBackend(顧客側)と MerchantBackend(運営側)という interface を実装する形で行います。カタログ検索、カート、注文、ポリシー、分析、在庫、価格、キャンペーンの各メソッドに、自社の API や DB を当てはめていきます。
ここで役に立つのが同梱の Claude Code プラグインです。claude plugin marketplace add anthropics/commerce-agents で追加し、/scaffold-commerce-agent に「自社ストア向けのショッピングアシスタント」のように伝えると、技術構成を質問しながら土台を作ってくれます。既に作ったものを見直す /review-commerce-agent もあります。
最初から全部つなぐ必要はありません。README は「検索と商品詳細だけ実装し、残りはスタブにする」小さな始め方を推奨しています。未実装のメソッドは「利用できない」と返るだけで、エージェントの指示文は変わりません。
関連記事:Claude Codeとは?できること・料金・使い方と社内導入の判断軸
ステップ4|承認フローと止めるスイッチを決める
導入する側が最後に決めるのは、人が承認する範囲と、使わない機能の切り方です。マーチャント側の書き込みは既定で全部が保留になるので、誰がどの変更案を承認するかを運用として決めます。
自社に無い仕組み(カートを持たない紹介サイト、注文追跡が無い店)は enable_* の設定を切ると、そのツールと指示文と根拠づけのルールがまとめて外れます。使わない流れは skills/_staged/ に置いておけば、後から戻せます。
Claude Commerce Agentsの料金|参照実装は無料、費用はClaudeの利用料と運用
Claude Commerce Agents そのものは Apache-2.0 で無料です。費用が発生するのは、動かすときに呼ぶ Claude モデルの利用料と、Managed Agents を使う場合のセッション料金、そして自社側の開発と運用です。
Claude モデルの利用料(従量)
モデルの料金は 100 万トークンあたりの単価で決まります(2026年9月時点、出典: platform.claude.com)。
| モデル | 入力 | 出力 | キャッシュ読み取り |
|---|---|---|---|
| Claude Haiku 4.5 | 1 ドル | 5 ドル | 0.10 ドル |
| Claude Sonnet 5 | 2 ドル | 10 ドル | 0.20 ドル |
| Claude Opus 5.5 | 4 ドル | 20 ドル | 0.20 ドル |
| Claude Opus 5 | 5 ドル | 25 ドル | 0.50 ドル |
接客や運営補助では、商品カタログや方針文のような同じ文脈を毎回送ることになるため、プロンプトキャッシュの効き方が費用を左右します。Anthropic の設計解説は、実運用で 90〜99% のキャッシュヒット率が出ていること、キャッシュ読み取りは新規トークンの約 10 分の 1 の単価であることを挙げています(2026年9月時点、出典: claude.com)。なお 2026年9月23日に公開された Claude Opus 5.5 は、キャッシュ読み取りが入力単価の 20 分の 1 に設定されています(2026年9月時点、出典: platform.claude.com)。
公式ドキュメントの試算例では、1 会話あたり約 3,700 トークンの問い合わせ 1 万件を Claude Haiku 4.5 で処理した場合の費用は約 37 ドルです(2026年9月時点、出典: platform.claude.com)。接客の会話量から、モデルの利用料の桁を見積もる目安になります。
Managed Agents を使う場合の追加料金
Managed Agents で動かす場合は、トークン料金に加えてセッションの実行時間に 1 時間あたり 0.08 ドルがかかります(2026年9月時点、出典: platform.claude.com)。待機中の時間は課金されません。自社でサーバーを持たない代わりの費用と考えると分かりやすいです。
Amazon Bedrock、Google Cloud Vertex AI、Microsoft Foundry でも同じ参照実装を動かせるので、既にクラウドの契約がある会社はそちらの請求にまとめることもできます。
見えにくい費用は開発と運用
参照実装が無料でも、自社のカタログや注文システムにつなぐ実装、承認フローの運用、評価ケースの整備は自社の工数です。設計解説では、1 つの流れにつき 50〜100 件の評価ケースを起点にすることが推奨されており、この準備が本番品質を決めます。モデルの利用料よりも、ここに時間を見込んでおく必要があります。
Claude Commerce AgentsとECチャットボット・自作AIエージェントの違い
Claude Commerce Agents は、既製のECチャットボットとも、ゼロから自作するAIエージェントとも位置づけが違います。3者を並べると違いがはっきりします。
| 観点 | Claude Commerce Agents | 既製のECチャットボット | ゼロから自作するAIエージェント |
|---|---|---|---|
| 担う範囲 | 検索から注文確認まで、運営側の分析と保守まで | 質問応答とFAQ案内が中心 | 設計次第 |
| 自社システムとの接続 | interface を実装して自社のカタログ・カートにつなぐ | ツール側の連携メニューの範囲内 | 全部自分で設計 |
| 安全設計 | 決済しない、書き込みは承認まで保留、ID の来歴を検証する仕組みが同梱 | ツール側の仕様に依存 | 自分で作る必要がある |
| 費用 | 無料の参照実装+Claude の利用料+自社の開発運用 | 月額の利用料 | Claude の利用料+設計と開発の工数 |
| 保守 | Anthropic は保守しない。fork した自社が所有する | ベンダーが保守 | 自社が保守 |
| 向いている会社 | 自社の商品や注文システムを持ち、接客と運営の両方をAIに広げたい | まず問い合わせ対応を自動化したい | 独自の業務フローが強く、既存の型が合わない |
既製チャットボットとの違いは「カートまで進むか」
既製のチャットボットは、問い合わせに答えるところまでは早く導入できますが、商品を探して比べてカートに入れる流れには通常入り込めません。Claude Commerce Agents は最初からカートと注文の操作を前提に設計されており、その代わり自社のカタログや注文システムへの接続を自分たちで実装する必要があります。
全国8,000人調査で、AIの活用方法によって生産性向上に約3.8倍の差が生まれることが判明。
自作エージェントとの違いは「安全策が最初から入っているか」
ゼロから作る場合に後回しになりがちなのが安全策です。Claude Commerce Agents では、外部から入ってくる商品説明やレビューの文章を「フェンス」で囲んでモデルが指示と取り違えないようにする処理、そのセッションでツールが返した商品 ID しかカートに入れられない来歴の検証、1 セッションの書き込みを直列にする制御が、ツール呼び出しの中で強制されています(出典: 安全設計のドキュメント)。
これらはプロンプトで「気をつけて」と書く方式ではなく、コード側で通さない方式です。自作する場合は、この一覧を設計のチェックリストとして使うだけでも価値があります。
Claude Commerce Agentsを導入する前に知っておきたい注意点
参照実装であることに由来する注意点が4つあります。いずれも「知らずに始めると途中で止まる」類のものです。
- 保守されない前提で fork する: Anthropic は保守も貢献受付もしないと明記しています。fork した後の更新は自社の責任になるので、最初に「どこまで手を入れるか」を決めておきます
- 決済と本番変更はエージェントの外に置く: チェックアウトは自社の決済導線に引き渡す設計、マーチャント側の書き込みは承認まで保留の設計です。この境界を「便利だから」と外すと、参照実装が担保していた安全性が消えます
- MCP コネクタは同梱されない: Snowflake、Stripe、Slack のような公式コネクタを使う場合は、バックエンドの interface の中からサーバー側で呼ぶ形になります。連携メニューから選ぶ感覚では進みません
- 日本語のECに合わせる作業がある: デモは英語圏の架空店舗です。日本の配送や返品の慣習、手数料の表示、敬語の接客文は、指示文とポリシーのデータを自社で用意する必要があります
「小さく始める」が README に書いてある
README の「Making it yours」節は、ショッピング側なら検索と商品詳細だけ、マーチャント側なら読み取りのメソッドだけを実装し、書き込みは拒否から始める進め方を勧めています。全部の流れを一度に動かそうとするより、1 つの流れで承認フローまで回してから広げるほうが、日本語対応や自社ルールの反映も無理なく進みます。
自社事例|Claude Commerce Agentsと同じ発想でAIエージェントに任せているEC業務
Claude Commerce Agents と同じ発想で、GiftX ではギフトEC「giftee」の運営業務をAIエージェントに任せてきました。参照実装の「流れ」に対応させると、どの業務から始めるかの目安になります。
問い合わせの一次対応|定型の約6割をAIが回答
FAQ、過去の問い合わせログ、注文ステータスの API をつないだ AI チャットボットを Claude API で構築し、配送状況や返品や受取方法といった定型の問い合わせに自動で回答しています。月 2,000 件を全件人が対応していた状態から、月 1,200 件(約 60%)を AI が一次対応するようになり、CS の応対工数は約 50% 減りました。複雑な質問だけが人に引き継がれます。参照実装でいう「注文とポリシーの質問」の流れに相当します。
関連記事:AIカスタマーサポートとは?導入メリットと活用事例、失敗しない始め方を整理
発注量の推奨|発注作成を月2日から半日へ
受取率、選び直しの傾向、季節要因、リードタイムを Claude API と BigQuery で統合し、SKU ごとの最適な発注量を推奨させています。月 2 日かかっていた発注作成が半日になり、欠品率は半減しました。担当者は推奨を承認するだけです。参照実装の「在庫と注文のアラート対応」と同じく、AI は案を出し、確定は人が行います。
商品説明文の生成|1商品20分から約2分へ
仕入れ先の商品マスタから、自社のトンマナに合わせた商品説明文を生成しています。1 商品あたり約 20 分かかっていた執筆が、レビュー込みで約 2 分になり、月 300 商品を週 1 回まとめて生成できるようになりました。数値は概算です。参照実装の「出品の保守」に近い業務で、ここでも担当者の軽微な修正を挟んでから公開しています。
AIエージェント導入で陥りがちな3つの落とし穴
Claude Commerce Agents のような設計図があっても、導入の進め方を誤ると同じところで止まります。よくある3つの落とし穴を挙げます。
落とし穴1|いきなり全てをやろうとする
ショッピングとマーチャントの10の流れを一気に動かそうとすると、自社システムへの接続と承認フローの設計が同時に発生し、どれも中途半端になります。最初に動かすのは1つの流れで十分です。
落とし穴2|壮大なAI戦略から考えて手が止まる
「EC全体をAIで変える」という大上段の構想から入ると、投資判断も体制も決まらず、動くものが出てきません。参照実装のデモを動かし、自社で効きそうな流れを1つ選ぶほうが早く前に進みます。
落とし穴3|既製品のチャット型AIツールで済ませようとする
汎用のチャット型AIツールは導入が楽ですが、自社のカタログや注文システムへのカスタマイズが難しく、カートや発注のような業務フローに組み込めるレベルの質には届きません。業務に組み込むなら、接続と承認の設計を自社で持つ必要があります。
スモールスタートで1業務をAIエージェントに任せる
問い合わせの一次対応でも、発注量の推奨でも、まず1業務を選び、承認フローまで含めて回してから次の流れに広げる。この順番が、参照実装の設計思想とも自社事例の実感とも一致しています。
GiftX では、こうしたスモールスタート前提のAIエージェント構築を 1 業務単位から伴走支援しています。詳細は AIエージェント構築支援サービス をご覧ください。
Claude Commerce Agentsに関するよくある質問
Claude Commerce Agentsは無料で使えますか?
参照実装そのものは Apache-2.0 ライセンスで無料です。動かすときに呼ぶ Claude モデルの利用料は従量課金で、Managed Agents を使う場合はセッションの実行時間にも料金がかかります。
日本語のECサイトでも使えますか?
Claude は日本語の会話に対応しているため、接客の文章自体は日本語で成立します。ただしデモは英語圏の架空店舗なので、配送や返品の慣習、敬語の接客文、手数料の表示は、指示文とポリシーのデータを自社で用意する必要があります。
Shopifyなど既存のECシステムと連携できますか?
連携メニューから選ぶ形ではなく、StorefrontBackend と MerchantBackend という interface を実装して、自社のカタログ、カート、注文、在庫の API につなぎます。ECプラットフォームが MCP サーバーを提供している場合は、バックエンドの中からサーバー側で呼び出す形になります。
AIが勝手に注文したり価格を変えたりしませんか?
参照実装には注文や決済を行うメソッドが存在せず、チェックアウトはカートを画面に描いて自社の決済導線に引き渡すところまでです。マーチャント側の価格や在庫の変更は保留された変更案として積まれ、人が承認するまで本番には反映されません。
エンジニアがいない会社でも導入できますか?
デモを動かして任せたい流れを選ぶ段階と、承認フローを決める段階は担当者が主体で進められます。自社システムへの接続の実装は開発が必要なので、Claude Code プラグインで土台を作るか、外部の支援を使うのが現実的な進め方です。
まとめ
Claude Commerce Agents は、ECの接客と店舗運営を担う2つのAIエージェントの参照実装で、検索からカートまで進める顧客側の流れと、承認を挟んで運営を補助する店舗側の流れが、安全策込みで設計図として配られています。参照実装は無料で、費用の本体は Claude の利用料と自社側の接続と運用です。既製のチャットボットと違ってカートまで進み、自作と違って安全策が最初から入っている一方、保守は自社が持つことになります。まず1つの流れを選び、承認フローまで含めてスモールスタートで回すことが、設計図を活かす近道です。
自社ECでAIエージェント活用を進めたい方へ
本記事で紹介したAIエージェントの活用に向けて、自社の業務でも具体的に進めたい・相談したいとお考えの方は、ぜひGiftX AIエージェント構築支援までお問い合わせください。
GiftX AIエージェント構築支援では、貴社の業務に合わせて1業務単位のスモールスタートから本番運用まで、AIエージェント構築をワンストップで支援します。ユースケースの洗い出しから、PoC、本番運用、社内ナレッジ化まで伴走します。
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