AIコンサルティングとは?支援内容・費用の決まり方・会社の選び方を整理

AIコンサルティングとは?支援内容・費用の決まり方・会社の選び方を整理
目次

AIコンサルティングを使うと、社内に専門人材がいなくても「どの業務からAIを入れるか」の見極めから、実際に動く仕組みの構築、社員が使い続ける状態づくりまでの5工程を、外部の専門家と一緒に進められます。ただし各社の見積もりを並べると同じ相談でも金額の桁が変わり、その差を生むのは会社のランクではなく、この5工程のどこまでを見積もりに含めているかです。

本記事では、AIコンサルティングに依頼できる支援内容、料金体系の型と単価を決める変数、代表的な提供企業、そして契約前に確認すべき質問までを整理します。

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AIコンサルティングとは|AI活用の設計から定着までを外部の専門家が支援すること

AI活用を外部に頼むときの相談先が3種類あり、それぞれ担当する工程が違うことを一目で理解させる。読者が「自分は今どこに相談すべきか」を判断できる状態にする。

AIコンサルティングとは、企業のAI活用について、課題の特定から導入計画の策定、実装、社内定着までを外部の専門家が支援するサービスです。

一般的なITシステムの導入支援と違うのは、扱う対象が「決まった仕様のシステムを入れること」ではなく「どの業務のどの判断をAIに任せるかを決めること」から始まる点にあります。AIは導入すれば自動的に成果が出る種類の道具ではなく、業務のどこに当てるかで効果の出方が大きく変わります。その見極めと、実際に動く状態まで持っていく工程を外部の知見で埋めるのがAIコンサルティングの役割です。

AI開発会社・ITコンサルティングとの違い

AI活用を外部に頼むときの選択肢は、AIコンサルティング以外にもあります。それぞれ担当する工程が違うため、自社が今どの段階にいるかで頼む先が変わります。

相談先主に担当する工程依頼する前提
AIコンサルティング課題特定 → 計画策定 → 実装 → 定着何をAIに任せるかがまだ決まっていない
AI開発会社要件定義 → 開発 → 納品作りたいものの仕様がすでに固まっている
ITコンサルティング情報システム全体の計画・刷新基幹システムや業務基盤全体を見直したい

AI開発会社に「うちの業務でAIをどう使えばいいか」と相談しても、多くの場合は要件が決まっていないため見積もりが出せません。逆に、作りたい仕組みが明確に決まっているのにAIコンサルティングから入ると、要件定義済みの内容をもう一度整理する工程に費用を払うことになります。

なお、AIコンサルティングは「AI開発は行わず戦略提案までを担う会社」と「実装まで自社で行う会社」が同じ名称で提供されています。この線引きは会社ごとに違うため、最初の問い合わせ時点で確認する必要があります。

相談が増えている背景

AI活用の相談が増えている理由は、AIを使う企業が増えたことよりも、使い始めた企業が次の段階で詰まっていることにあります。

GiftXが実施した調査では、AIを業務で使っている人のうち、都度チャットで質問したり文章を作らせたりする段階にとどまっている人が70.3%を占めました。一方で、AIが複数工程の業務を半自動で進める段階まで到達している人は10.5%です。そして「生産性が明確に上がった」と答えた人はチャット段階で14.3%、複数工程を任せる段階では54.3%と、約3.8倍の開きがあります(全職種ベース)。

組織側の課題として挙がったのは、AI活用が個人任せになっている(25.9%)、学ぶ機会や研修制度がない(20.6%)、業務に組み込む仕組みや専門人材がいない(19.1%)といった項目でした(複数回答)。ツールを配ったあとの「業務に組み込む工程」を担う人が社内にいない状態が、外部への相談につながっています。

AI活用の段階割合生産性が明確に上がったと回答
都度チャットで質問・相談28.1%13.8%
都度チャットで成果物を作らせる42.2%14.5%
自社の情報・手順を覚えさせて繰り返し実行19.3%19.4%
AIが複数工程を半自動〜自動で進める10.5%54.3%

詳細な調査データは「ビジネス職生成AI活用実態調査(2026年版)」にてご覧ください。

市場側でも同じ動きが数字に出ています。IDCは国内ビジネスコンサルティング市場が2025年の約8,822億円から2030年には約1兆4,064億円へ、年平均9.8%で拡大すると予測しました(出典: idc.com)。同社は、生成AIやエージェンティックAIが試す段階から変革する段階へ移ったと分析しています。業務プロセス・データ基盤・組織体制を一体で変える案件が増えたことで、1件あたりの規模が大きくなり、複数年のプログラムになりつつあるとしています。

AIコンサルティングに依頼できる5つの支援内容

AIコンサルティングに依頼できる支援が5つの工程に分かれており、どこまでを外部に任せるかで見積もりが変わることを示す。読者が自社の相談内容がどの工程に当たるかを特定できるようにする。

AIコンサルティングの支援範囲は会社によって幅がありますが、工程で分解すると次の5つに整理できます。自社がどこまでを外部に任せたいのかを、この5つのどれに当たるかで考えると、見積もり比較がしやすくなります。

支援内容1|AI活用の方針策定とロードマップ作成

経営課題からさかのぼって、AIを使う目的と優先順位を決める工程です。「どの部門のどの業務から着手し、いつまでに何を実現するか」を時間軸に並べ、投資判断ができる形にまとめます。

この工程だけを切り出して依頼することもできますが、方針だけを受け取って実行に移せないケースが起きやすいのもここです。ロードマップの粒度が「1年目:全社でのAIリテラシー向上」のような抽象度で止まると、翌月から誰が何をするかが決まりません。成果物として、着手する業務名・担当・判断基準まで落ちているかを確認する必要があります。

支援内容2|業務の洗い出しとユースケース選定

現場の業務フローを棚卸しし、AIに任せられる工程を特定する工程です。処理件数、1件あたりの所要時間、判断の複雑さ、失敗したときの影響度といった軸で候補を並べ、費用対効果と実現しやすさで優先順位を付けます。

ここが実質的にプロジェクトの成否を決めます。件数が少なく判断が複雑な業務を最初に選ぶと、投じた工数に対して効果が出ません。逆に、毎日発生していて判断基準が明文化しやすい業務を選べば、短期間で効果が数字に出ます。外部に頼む価値が最も大きいのは、この選定を他社の事例と照らして判断できる点にあります。

支援内容3|検証(PoC)の設計と実施

選んだユースケースについて、小さく作って本当に成立するかを確かめる工程です。技術的に動くかだけでなく、現場の担当者が実際に使えるか、既存の業務手順に無理なく差し込めるかまでを見ます。

検証で重要なのは、始める前に「何がどうなったら本番に進めるか」を決めておくことです。精度が何%を超えたら合格なのか、処理時間が何分を切ればよいのか、誰が判定するのか。この3点が決まっていない検証は、動くものができても次に進む根拠が誰にも示せません。検証の設計段階でこの合格条件を提示してくるかどうかは、依頼先を見極める材料になります。

関連記事:AIエージェントの法人導入ガイド|PoCから本番運用までの5ステップと3つの落とし穴

支援内容4|本番実装と既存システムとの連携

検証を通ったものを、日常業務で回る仕組みとして構築する工程です。社内データの連携、権限設計、ログの取得、既存ツールとの接続、障害時の切り分け手順まで含みます。

ここを担当しない会社もあります。方針策定と検証までを支援し、実装は別のベンダーへ引き継ぐ形です。この分担自体は珍しくありませんが、引き継ぎの時点で仕様の解釈がずれて手戻りが発生することがあります。自社に実装を管理できる人がいない場合は、実装まで一貫して担当する会社を選ぶほうが総額を抑えられます。

支援内容5|社内定着と人材育成・内製化支援

構築した仕組みを現場が使い続ける状態にし、社内で改善を回せるようにする工程です。利用ルールの整備、研修、社内の推進担当者の育成、改善サイクルの設計などが含まれます。

AI活用の成果は導入時点ではなく、使いながら精度を上げていく過程で伸びます。そのため、外部の支援が終わったあとに誰が改善を担うかを決めておかないと、時間の経過とともに使われなくなります。支援終了後に社内へ何が残るのかは、契約時点で確認しておく項目です。

関連記事:おすすめの生成AI研修を比較|対象者・ツール・助成金で絞り込む

おすすめのAIコンサルティング会社

AIコンサルティングを提供する会社は、成り立ちによって得意な工程が違います。ここでは提供形態を4つの型に分け、代表的な企業を紹介します。型が違えば強い工程も想定予算も変わるため、まず自社の相談内容がどの型に当たるかを見てから個社を比較すると絞り込みが早くなります。

会社得意な工程向いている企業
アクセンチュア総合ファーム全社方針から実装・運用まで全社規模で業務そのものを組み替えたい
野村総合研究所調査・システム構築一体調査・戦略からシステム構築・運用まで業界構造の分析から入りたい
アビームコンサルティング総合ファーム経営課題の解決と実行支援国内の商習慣に沿った実行支援が欲しい
電通総研調査・システム構築一体構想策定からシステム構築まで構想と構築を同じ会社に任せたい
ブレインパッドデータ活用専業データ基盤整備・分析・育成データが散在していて活用の土台がない
ABEJAAI専業基幹業務プロセスの変革基幹業務にAIを組み込みたい
エクサウィザーズAI専業業種特化のAIエージェント活用自社の業種に合った実装例を見たい
PKSHA TechnologyAI専業カスタム開発とSaaSの併用開発と既製プロダクトを使い分けたい
JAPAN AI実装伴走プロダクト提供と伴走支援ツール導入と定着支援をまとめたい
GiftX実装伴走1業務単位の構築と運用伴走小さく始めて成果を確認してから広げたい

関連記事:AIエージェント導入支援会社のおすすめ11選|選び方と対応領域を整理

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アクセンチュア株式会社|方針策定から実装・運用までを一気通貫で担う

世界最大級の総合コンサルティングファームです。公式サイトでは、生成AIをどこに適用すれば投資対効果が最大になるかをバリューチェーン全体で評価する方針策定から、データ基盤の整備、責任あるAIの実践、従業員の再教育までを支援領域として挙げています。

自社プラットフォーム「Accenture AI HUB Platform」を持ち、DatabricksやSnowflakeといった技術パートナーとの協業体制も公開しています。業務プロセスごと組み替える案件に強い一方、投資規模は大きくなります。

株式会社野村総合研究所|調査から運用までを1社で完結できる

調査研究を担うシンクタンク機能を起点に、コンサルティング、システム構築、運用のマネージドサービスまでを段階的に提供しています。業種別に12領域、テーマ別に13領域の支援体制を公開しており、「NRI Solution AI」として本格活用に向けた支援を展開しています。構想と構築を同じ会社に任せられるため、引き継ぎ時の仕様のずれが起きにくい構造です。

アビームコンサルティング株式会社|日本発のファームとして実行支援に強い

日本発の総合コンサルティングファームで、経営課題の解決から実行支援までを一貫して担うことを掲げています。AI、クラウド、セキュリティ、テクノロジー戦略などの領域を持ち、製造、金融、流通、エネルギー、通信、公共など20以上の業界に対応しています。海外の方法論を持ち込むのではなく、国内企業の意思決定プロセスに合わせた進め方を求める場合の候補です。

株式会社電通総研|構想の描出からシステム構築までをつなぐ

シンクタンク、コンサルティング、システムインテグレーションの3機能を持ち、あるべき姿の描出から課題設定、戦略策定、解決策の実行までを一貫して支援すると公開しています。生成AI関連では、セキュアに使える環境を構築する「minnect AIアシスト」などを提供しています。

株式会社ブレインパッド|データ活用の土台づくりから育成まで

「データ活用推進パートナー」を掲げ、分析・アルゴリズム開発・基盤構築・データ活用の助言・人材育成を担うプロフェッショナルサービスと、プロダクト提供の2本柱で事業を展開しています。AI活用が進まない原因が、そもそも社内データが部署ごとに散在していることにある場合、この土台づくりから相談できる点が強みです。

株式会社ABEJA|基幹業務のプロセス変革とガバナンス

「ABEJA Platform」を基盤に、顧客企業の基幹業務プロセスの変革を支援しています。大規模言語モデルをビジネスに実装する「ABEJA LLM Series」のほか、AIガバナンスに関する助言、人材育成支援もサービスとして公開しています。

株式会社エクサウィザーズ|業種別の実装例が豊富

生成AIとAIエージェントを核に、業務効率化から経営変革までを支援するプロダクト群を提供しています。企業変革を加速するAIエージェント群「exaBase」シリーズのほか、介護や医療領域向けのサービスも展開しています。対象業界は金融、製薬、電力、小売、鉄道、製造、自治体と広く公開されています。

株式会社PKSHA Technology|カスタム開発と既製プロダクトの両方を持つ

課題に応じて開発するAI Solution、プロダクト化して提供するAI SaaS、アルゴリズム開発を担うAI Researchの3事業で構成されています。公式サイトでは、導入企業数が2025年10月時点で4,400社以上と公開されています。

既製プロダクトで済む業務と個別開発が必要な業務が混在している場合に、1つの窓口で使い分けられる点が利点になります。

JAPAN AI株式会社|プロダクト提供と伴走支援をセットで

プラットフォーム提供、AIに関する助言(研修・人材育成・伴走)、AI開発(要件定義・実装・検証)の3領域をカバーしています。用途別に複数のプロダクトを持ち、要件定義から実装までを自社で担う体制を公開しています。

株式会社GiftX|自社で実践した仕組みを1業務単位で構築する

GiftXは、AI活用の相談から実装・運用までを1業務単位で支援しています。特徴は、支援内容を自社事業で先に実践している点です。記事制作では1本あたり約4時間かかっていた工数を約10分に短縮し(約96%削減)、提案資料の作成は約2時間から約10分へ(約92%削減)、広告運用は1媒体あたり週約6時間から約1時間へ(約83%削減、あわせてCPAを15%改善)といった結果を自社で出しています。

全社の方針策定から入るのではなく、効果が測れる1業務を選んで先に成果を出し、そこで得た型を横に広げる進め方を取ります。専門人材が社内にいない状態から始める企業や、過去に検証だけで終わった経験がある企業に向きます。

AIコンサルティングの費用相場と料金体系

AIコンサルティングの費用は、同じ「AI活用の相談」でも会社によって桁が変わります。金額そのものを覚えるより、料金体系の型と、単価を動かしている変数を押さえるほうが見積もりの比較に役立ちます。

関連記事:AI導入にかかる費用の相場は?3つのパターンと主要ツール料金を整理

料金体系は大きく4つに分かれる

契約形態は次の4つに整理できます。相談内容がどれに当たるかで、そもそも比較すべき相手が変わります。

契約形態費用の発生の仕方向いている相談
スポット型1回ごと進め方の相談、方針の壁打ち
顧問型毎月定額継続的な助言、社内推進の後ろ盾
プロジェクト型案件一括特定業務の構築を完了まで任せる
成果報酬型成果に連動削減額や売上増を指標にできる相談

同じ会社でも、初回は方針整理をスポット型で受け、実装フェーズに入るとプロジェクト型に切り替える、といった組み合わせが一般的です。問い合わせの段階で「どの形態での提案か」を明示してもらうと、他社の見積もりと横並びで見られます。

見積もりが桁違いになる理由

費用の幅が広いのは、会社のランクの差ではなく、見積もりに含まれる範囲が違うためです。単価を動かしているのは主に次の変数です。

  • 支援範囲:方針策定までか、検証まで含むか、本番実装と運用まで担うか。工程が下流に伸びるほど費用は上がります
  • 稼働体制:担当が1名の助言中心か、設計・開発・データを扱う担当が並ぶチーム編成か
  • 対象業務の広さ:1業務に絞るか、複数部門を同時に扱うか
  • データの状態:使えるデータが整っているか、整備そのものから必要か
  • 成果物の扱い:作った仕組みやプロンプト、設計書が自社の資産として残るか、支援会社側に残るか
  • 内製化支援の有無:社内担当者への引き継ぎと育成が含まれるか

このうち見落とされやすいのが下の2つです。安く見えた見積もりに成果物の権利と引き継ぎが含まれておらず、契約終了後に手を入れられない、あるいは同じ会社に再依頼し続けることになる、という形で後から差が出ます。金額を比べる前に、この6つの変数を各社で揃えてから並べる必要があります。

相見積もりで前提を揃える方法

複数社から見積もりを取るときは、こちらから前提を固定して渡すと比較できる形になります。対象業務を1つに絞り、現在の処理件数と1件あたりの所要時間を数値で示し、期間を区切り、成果物の帰属と引き継ぎ範囲を明記したうえで依頼します。前提を渡さずに「AIで業務効率化をしたい」と伝えると、各社が異なる規模を想定した提案を返すため、金額の差が何に由来するのか判別できなくなります。

AIコンサルティング会社の選び方

提供企業の型がわかったら、次は個社を見極める段階です。判断軸は多く語られますが、実際に契約後の満足度を左右するのは次の5点に集約されます。

支援範囲が方針策定で終わるか、動く状態まで届くか

最も大きな分岐です。方針策定だけを担う会社に実装まで期待すると、提案書を受け取った時点で止まります。会社案内には「戦略から実装まで」と書かれていても、実装を担うのが自社なのか協力会社なのかで、進行速度も責任の所在も変わります。過去の案件で本番稼働まで到達した割合と、実装を誰が担当したかを聞くのが確実です。

自社の業務と業種を理解しようとするか

初回の打ち合わせで、業務の手順・処理件数・判断基準を具体的に聞いてくる会社は、ユースケース選定の精度が上がります。逆に、他社の成功事例をそのまま当てはめる提案が最初から出てくる場合は、自社の制約が反映されないまま進む可能性があります。

支援会社自身がAIを使っているか

自社の業務でAIを日常的に使っている会社は、実際に使い続けたときに何が起きるかを知っています。精度が落ちる場面、現場が使わなくなる理由、運用でかかる手間といった、提案書には書かれない部分の見立てが違います。「御社では社内のどの業務にAIを使っていますか」と質問すると、答えの具体性で差が見えます。

検証で終わらせない判断基準を設計してくれるか

検証を始める前に、本番に進む条件を数値で提示してくるかどうかです。合格条件が決まっていない検証は、動くものができても意思決定の材料になりません。提案段階で「何がどうなったら次に進むか」が書かれていない場合は、契約前に必ず確認します。

社内に知見が残る設計になっているか

支援が終わった後の状態を先に決めておく観点です。作った仕組みの設計書とプロンプトが自社に残るか、社内の担当者が改修できる形になっているか、運用マニュアルが引き渡されるか。ここが曖昧なままだと、改善のたびに外部への依頼が発生します。

すべてを内製で抱える必要はありません。難易度の高い設計と初期構築は外部に任せ、日々の改善は社内で行う分担が現実的です。この分担ラインを契約前に合意できていれば、2件目以降は社内で回せるようになります。

契約前に確認したい質問

問い合わせと初回打ち合わせで、次の質問をそのまま投げると各社の違いが表に出ます。

  1. 今回の提案は、方針策定・検証・本番実装・運用のどこまでを含みますか
  2. 実装は貴社が担当しますか、協力会社に委託しますか
  3. 検証から本番に進む判断基準は、どの数値で設定しますか
  4. 作成した設計書・プロンプト・学習データの権利は、契約終了後どちらに帰属しますか
  5. 支援終了後、社内の担当者が改修できる状態まで引き継いでもらえますか
  6. 御社自身は、社内のどの業務でAIを使っていますか
  7. 過去の案件で、本番稼働まで到達した割合はどの程度ですか

AIコンサルティング導入ステップ|相談から本番運用まで

実際に依頼したあとの流れは、会社によって呼び方が違っても大枠は共通しています。どの段階で何が決まるかを知っておくと、社内の合意形成の準備がしやすくなります。

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ステップ1|課題整理と対象業務の選定

現状の業務と課題を共有し、AIを適用する候補を洗い出す段階です。処理件数、所要時間、判断の複雑さ、失敗時の影響度で候補を並べ、最初に着手する業務を1つに絞ります。期間の目安は2週間から1か月です。

この段階で社内から出しておくとよいのは、対象候補の業務手順書、直近の処理件数、担当者の人数と稼働時間です。数値が出せない場合は概算でも構いませんが、後の効果測定の基準になるため、着手前に記録しておきます。「月に何本」「1本あたり何時間」の2つが押さえられていれば、削減効果を金額に換算できます。

候補を絞るときは、費用対効果だけでなく「失敗しても業務が止まらないか」を見ます。止まると顧客に影響が出る業務を1件目に選ぶと、慎重な検証が必要になり期間が延びます。社内向けの資料作成や集計のように、間違いに気づいてから直せる業務のほうが1件目には適しています。あわせて、その業務の手順を説明できる担当者を1名決めておきます。この人が検証の設計と結果判定に関わるかどうかで、出てくるものの実用性が変わります。

ステップ2|検証設計と小さく作る

選んだ業務について、実際に動くものを小さく作り、成立するかを確かめる段階です。ここで決めておくのが、本番に進む合格条件と判定者、そして判定の時期です。

検証の範囲は意図的に狭く取ります。対象を広げると、うまくいかなかったときに原因が特定できません。1つの業務の、1つの工程から始めるのが確実です。期間の目安は1〜2か月程度で、この間に現場の担当者にも触ってもらい、業務手順に無理なく差し込めるかを確認します。

このとき、精度そのものより「直す手間が元の作業より少ないか」を見ます。出力が8割正しくても、残り2割を探して直す時間が手作業より長ければ、現場は使いません。担当者に実際の案件で1週間ほど使ってもらい、修正にかかった時間を記録すると判断材料になります。

うまくいかなかった場合も、原因を「業務の選び方が悪かった」「渡したデータが足りなかった」「指示の設計が粗かった」のどれかまで切り分けておきます。ここが記録されていれば、2件目の候補を選び直すときに同じ失敗を避けられます。検証で止める判断も成果のひとつで、費用をかけ続ける前に見切れたことに価値があります。

ステップ3|本番実装と業務への組み込み

検証を通ったものを、日常業務で回る形に仕上げる段階です。社内データとの連携、権限設定、ログ取得、既存ツールとの接続、うまくいかなかったときの切り分け手順を整えます。

あわせて業務手順そのものを更新します。AIが下書きを作る前提に変われば、誰がどこを確認して承認するかが変わります。この手順の作り替えを省くと、担当者は従来どおりの手作業とAIの出力確認の二重作業になり、かえって時間が増えます。手順書とチェック項目を書き換え、旧手順を明示的に廃止するところまでが実装の範囲です。

この段階で決めておきたいのが、AIの出力をそのまま使ってよい範囲です。社内向けの下書きは確認なしで通す、顧客に出す文面は必ず人が承認する、といった線引きを業務ごとに定めます。判断を都度現場に委ねると、慎重な担当者は全件確認して工数が減らず、そうでない担当者は無確認で出してしまいます。

ステップ4|定着と改善サイクルの設計

運用を始めてから精度と使い勝手を上げていく段階です。実際の利用ログを見て、うまくいかない入力パターンを特定し、指示や参照データを更新します。

ここで決めておくのが、改善を誰が担当するかです。社内に担当者を置き、外部の支援は月次の助言に切り替えるのか、当面は外部が改善まで担うのか。この分担を決めないまま運用に入ると、精度が落ちた時点で誰も手を入れず、使われなくなります。2件目以降の業務に展開するタイミングも、この段階で判断します。

AI活用が成果につながった事例

AIコンサルティングの効果は、ツールを導入した時点ではなく、業務に組み込んで使い続けた先に出ます。GiftXが自社および支援先で実施した取り組みから、2つの型を紹介します。

関連記事:AIエージェント活用事例10選|業務別・業界別に見る導入成果と進め方

研修を「持ち帰って使う」形式にして利用率を上げた例

研修の形式を変えるだけで、研修後にAIを業務で使い続ける人の割合が大きく変わることを示す。読者が「知識を教える研修」と「持ち帰る成果物がある研修」の差を理解できるようにする。

部門ごとに、実際の業務を教材にした生成AI研修を設計・実施した取り組みです。座学で機能を説明する形式ではなく、参加者が自分の業務から1つ選び、その場で自動化の仕組みを作って持ち帰る形式にしました。

結果として、研修後に業務でAIを使い続けている人の割合が約2割から約7割へ、約3.5倍に増えています。研修の内容そのものより、終わった時点で「自分の業務で動くもの」が手元にあるかどうかが定着を分けました。

定例レポートの作成を83%短縮した例

複数システムから数値を手作業で集計し、コメントを付けて月4本の定例レポートを作成していた業務です。担当者は3年目の1名で、部門横断のデータ集計を兼務していました。作成には1本あたり約4時間、月16時間かかっていました。

集計と初稿作成をAIに任せ、担当者は数値の妥当性確認とコメント調整だけを行う形に変えたところ、1本あたり約40分、月約2.7時間になりました。工数は約83%減り、時給3,500円換算で月約4.7万円、年約56万円に相当します。対象を1業務に絞ったため、着手から運用開始まで短期間で到達しています。

AIコンサルティングの依頼で陥りがちな3つの落とし穴

相談を受けるなかで繰り返し見かける、進まなくなる原因が3つあります。

落とし穴1|いきなり全社の業務を一気に対象にしようとする

全部門を同時に対象にすると、調整だけで数か月が過ぎ、着手前に熱量が下がります。効果が出る前に費用だけが積み上がるため、社内の支持も得にくくなります。

落とし穴2|壮大なAI戦略の策定から入って手が止まる

全社方針を先に固めようとすると、経営層の合意形成に時間がかかり、現場では何も変わらない期間が続きます。方針は、1件目の成果が出てから具体化するほうが説得力を持ちます。

落とし穴3|既製のチャット型AIツールだけでは業務フローに組み込めない

汎用ツールを配るだけでは、自社の手順や判断基準を反映できず、出力を毎回直すことになります。調査でも、都度チャットで使う段階にとどまる人が70.3%を占めました。業務フローに組み込める品質に届かせるには、自社のデータと手順を学習させる工程が必要です。

スモールスタートで1業務をAIエージェントに任せる

確実なのは、効果を数値で測れる1業務を選び、そこだけをAIエージェントに任せて成果を出すことです。1件目で削減時間が数字になれば、社内の合意は後からついてきます。その型ができてから、隣の業務へ広げていきます。

GiftXでは、こうしたスモールスタート前提のAIエージェント構築を1業務単位から伴走支援しています。詳細は AIエージェント構築支援サービス をご覧ください。

AIコンサルティングに関するよくある質問

Q. AIコンサルティングと生成AI研修は何が違いますか

研修は社員がAIを使えるようにすることが目的で、AIコンサルティングは業務にAIを組み込んで成果を出すことが目的です。ただし実務では重なる部分があり、コンサルティングの一環として研修が含まれる場合もあります。社員のスキルは足りているが業務に組み込めていないのか、そもそも使い方がわからない段階なのかで、必要な支援が変わります。

Q. 社内にAIに詳しい人材がいなくても依頼できますか

依頼できます。むしろ社内に専門人材がいない段階のほうが、外部に頼む価値は大きくなります。ただし、対象業務の手順と判断基準を説明できる担当者は社内から出す必要があります。AIに詳しい必要はなく、その業務を最もよく知っている人が適任です。

Q. 小規模な会社でも依頼できますか

可能です。全社規模の変革を前提とする会社に相談すると規模が合いませんが、1業務単位での構築を担う会社であれば、対象を絞った依頼ができます。契約形態としては、スポット型や月額の顧問型から始める方法もあります。

Q. 検証だけで終わってしまうのを避けるにはどうすればよいですか

検証を始める前に、本番に進む合格条件を数値で決めておくことです。精度や処理時間の基準、判定する人、判定の時期の3点を提案段階で確認します。あわせて、検証で扱う業務を「うまくいったら本番でも使う業務」に限定しておくと、検証のための検証になりません。

Q. 支援が終わったあと、社内だけで運用できますか

契約時の設計次第です。作成した設計書やプロンプトの帰属、社内担当者への引き継ぎ範囲、運用マニュアルの有無を契約前に決めておけば、日々の改善は社内で回せる状態になります。難易度の高い設計だけを外部に残し、運用は内製にする分担が現実的です。

まとめ

AIコンサルティングは、AIをどの業務にどう組み込むかを決めるところから、実際に動く仕組みの構築、使い続ける状態づくりまでを外部の専門家と進めるサービスです。支援内容は方針策定、業務の洗い出し、検証、本番実装、定着支援の5工程に分かれ、どこまでを依頼するかで費用が大きく変わります。

会社選びで見るべきは、支援範囲が動く状態まで届くか、自社の業務を理解しようとするか、支援会社自身がAIを使っているか、検証の合格条件を設計するか、社内に知見が残るか、の5点です。見積もりを比べる前に、対象業務と期間、成果物の帰属を揃えて渡すと、金額の差が何に由来するのかが見えます。

最初の一歩は、全社の方針づくりではなく、効果を数値で測れる1業務を選ぶことです。1件目で削減時間が数字になれば、次の業務への展開も社内の合意も進めやすくなります。スモールスタートで1業務をAIエージェントに任せるところから始めてみてください。

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GiftX AIエージェント構築支援では、貴社の業務に合わせて1業務単位のスモールスタートから本番運用まで、AIエージェント構築をワンストップで支援します。ユースケースの洗い出しから、検証、本番運用、社内ナレッジ化まで伴走します。

AI活用にご関心のある方は、ぜひ一度ご相談ください。

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石塚 悠悟
AIエキスパート

GiftX共同代表。デロイト トーマツ/PwCでのコンサルティングを経て、ホットリンク執行役員として事業領域全体(デジタルマーケティング支援事業・SaaSプロダクト事業)・バックオフィス領域を統括。AI活用・業務自動化・エージェント構築の実務に注力。

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