営業のAI活用|利用率は控えめ、でも日常的に使う
全体では、オフィス系7職種の利用率は約67%、毎日〜週数回の高頻度利用が約77%を占めます(上図)。その中で営業の利用率は62.4%と、7職種では5位。数字だけ見ると控えめですが、ほぼ毎日使う人が39%、週に数回が37%で、毎日〜週数回が約76%。使っている人は全体と同じく日常的に使っています。
全体の傾向とは別に、営業職100人が実際に使っている業務を並べると次のようになります。
| 用途 | 使っている人の割合 |
|---|---|
| 提案・打合せ資料の作成 | 34% |
| 社内資料の作成 | 31% |
| 営業リスト作成 | 30% |
| 営業スクリプト作成 | 26% |
| 顧客向けメール文の作成 | 25% |
| 商談・面談の議事録 | 18% |
| 提案骨子の整理 | 18% |
※複数回答・営業職100人ベース
資料作成やリスト・スクリプトづくりなど、商談の前後にある「準備業務」でよく使われています。
成果実感は7職種で最高|「使えば成果につながる」職種
上の図は、7職種を利用率・生産性・成果実感で並べたものです。全体で見ると、利用率の高さと成果実感は必ずしも一致しません。営業はその「逆パターン」にあたります。利用率は5位(62.4%)ながら、生産性が「明確に上がった」割合は24%(7職種で2位)、成果・品質は27%と7職種で最も高い水準です。
職種を「利用率」と「成果実感」でマッピングすると(上図)、営業は「利用はこれからだが、成果実感が高い」グループに入ります。使えば成果につながりやすい職種であり、伸びしろは「使う範囲を広げること」にあります。
使い方は「質問」中心|L1が多い
AIの使い方は、業務への組み込み度合いで4段階に分けられます(L1 チャットで質問/L2 チャットで作成/L3 覚えさせて実行/L4 AIエージェント化)。全体では約7割がチャットで完結するL1・L2にとどまります。営業はその中でもL1「チャットで質問」が38%と多いのが特徴です。資料を作らせるより、まず相談・調べ物にAIを使う人が多い職種だといえます。
| 活用レベル | 営業の割合 |
|---|---|
| L1 チャットで質問 | 38% |
| L2 チャットで作成 | 38% |
| L3 覚えさせて実行 | 13% |
| L4 AIエージェント化 | 11% |
AIエージェント化(L4)の到達率を職種で見ると(上図)、営業は11%。全体平均(10.5%)と近い水準です。成果は出やすい職種なので、L3・L4へ使い方を深めれば、さらに伸びる余地があります。
成果を分ける「深さ×幅」|チャット止まりとの差は約3.8倍
使い方の深さは、成果に大きく効きます。全職種で見ると、チャット止まり(L1+L2)の層で生産性が明確に向上した人は14.3%。AIエージェント化(L4)の層では54.3%と、約3.8倍になります。
| 活用レベル | 生産性が明確に向上 | 成果・品質が明確に向上 |
|---|---|---|
| L1 チャットで質問 | 13.8% | 19.2% |
| L2 チャットで作成 | 14.5% | 16.3% |
| L3 覚えさせて実行 | 19.4% | 17.1% |
| L4 AIエージェント化 | 54.3% | 44.3% |
営業はもともと「使えば成果につながる」職種です。だからこそ、まだ手をつけていない業務にAIを広げ(幅)、繰り返す業務は覚えさせて任せる(深さ)ことで、成果はさらに積み上がります。
なお、これはクロス集計による相関であり、因果を示すものではありません。ただ、成果を実感している層ほど使い方が深い傾向は、営業でも共通しています。
営業の詰まり方|「どこまで任せてよいか」
上の図は、7職種全体で見た課題の全体像です。個人の課題は「どこまで任せてよいか判断できない」「出力の質」「毎回の指示・調整の手間」が上位に並びます。
では、営業に絞るとどうか。特に多いのが「どこまでAIに任せてよいか判断できない」で、31%にのぼります。顧客とのやり取りや提案は、任せてよい範囲の線引きが難しく、この判断でつまずきやすい職種です。逆にいえば、「ここまでは任せる」という範囲を先に決めれば、利用を広げやすくなります。
参考として、営業で顧客データ(SFA)とAIを連携させて使う人は9%と最も少数ですが、その層の成果実感は44.4%と最も高くなっています(回答者9名の参考値)。顧客データと商談をつなぐ使い方には、大きな伸びしろがありそうです。
使う範囲を広げ、任せる範囲を決める|営業の最初の一歩
営業の伸びしろを成果に変えるには、「使う範囲を広げる」ことと「任せる範囲を決める」ことの両方が鍵になります。進め方は3つです。
- 業務を理解している人が設計に関わる:商談や提案の流れを知る人がAIの使い方を設計することで、実務で使える出力に近づく
- 1つの業務から小さく始める:提案資料の作成やリスト作成など、頻出業務ひとつをAIエージェント化の対象にする
- 走りながら改善する:一度で完成させようとせず、使いながら学習データと手順を整えていく
突き詰めると、成果を出している層に共通するのは2つの条件です。ひとつは①学習データの整備(自社の情報・商談の型を、AIが使える形に整えること)。もうひとつは②使いながら育てる(一度で完成を目指さず、改善を重ねること)。
営業なら、まず提案資料や営業リスト、スクリプトといった頻出業務のひとつを選び、自社の勝ちパターンやトーンを覚えさせるところから始めるのが現実的です。「どこまで任せるか」を先に決めておけば、利用を広げても迷いにくくなります。
まとめ
調査からわかった営業の現在地は、次の3点です。
- 利用率は7職種で5位(62.4%)と控えめだが、成果・品質が「明確に上がった」は27%で7職種最高。使えば成果につながりやすい職種
- 使い方はL1「チャットで質問」が38%と多く、資料作成より相談・調べ物が中心。伸びしろは「使う範囲を広げる」こと
- 最大の課題は「どこまで任せてよいか判断できない」(31%)。任せる範囲を先に決めれば、利用を広げやすくなる
営業はAIと相性のよい職種です。次の一手は、使う場面を広げつつ、繰り返す業務を覚えさせて任せること。そこに、成果をさらに伸ばす道があります。
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