CSのAI活用|問い合わせ対応・議事録が中心
全体では、オフィス系7職種の利用率は約67%、毎日〜週数回の高頻度利用が約77%を占めます(上図)。その中でカスタマーサクセスの利用率は69.7%で、7職種中4位。平均的に使われている職種です。
全体の傾向とは別に、カスタマーサクセス職100人が実際に使っている業務を並べると次のようになります。
| 用途 | 使っている人の割合 |
|---|---|
| 顧客の問い合わせ対応 | 30% |
| 商談・面談の議事録 | 28% |
| FAQ・ヘルプの作成 | 28% |
※複数回答・カスタマーサクセス職100人ベース
問い合わせへの回答づくりや議事録、FAQ整備など、顧客対応の周辺業務でよく使われています。
利用は進むが、成果実感はこれから
上の図は、職種を「利用率」と「成果実感」で並べたものです。全体で見ると、利用率の高さと成果実感は必ずしも一致しません。カスタマーサクセスは「利用は進んでいるが、成果実感がまだ伸びていない」グループに入ります。生産性が「明確に上がった」割合は14%とやや低め、成果・品質は19%で中位です。
利用の中身を見ると、カスタマーサクセスはまだ「日常的に使う」段階には届いていません。ほぼ毎日使う人は30%で、月に数回どまりが40%と7職種で最も多い。「とても役立っている」は24%、「もっと活用したい」は47%と、いずれも7職種で最も控えめな水準です。使い始めてはいるが、手応えをつかみ切れていない現在地が、数字に表れています。
顧客対応は、相手やトーンに合わせた細やかな調整が求められます。汎用的な使い方のままでは、そのまま使える精度に届きにくい。裏を返せば、自社のナレッジや対応の型を覚えさせれば、成果が伸びる余地が大きい職種だといえます。
使い方の4レベル|顧客対応に組み込む
AIの使い方は、業務への組み込み度合いで4段階に分けられます(L1 チャットで質問/L2 チャットで作成/L3 覚えさせて実行/L4 AIエージェント化)。全体では約7割がチャットで完結するL1・L2にとどまります。
カスタマーサクセスは、問い合わせのたびにAIに聞く「単発利用」が中心です。一方で、自社のFAQや過去の対応履歴を覚えさせ、繰り返し同じ品質で答えるL3・L4には、まだ多くが進んでいません。ここに、精度と効率を一段引き上げる余地があります。
成果を分ける「深さ」|チャット止まりとの差は約3.8倍
使い方の深さは、成果に大きく効きます。全職種で見ると、チャット止まり(L1+L2)の層で生産性が明確に向上した人は14.3%。AIエージェント化(L4)の層では54.3%と、約3.8倍になります。
| 活用レベル | 生産性が明確に向上 | 成果・品質が明確に向上 |
|---|---|---|
| L1 チャットで質問 | 13.8% | 19.2% |
| L2 チャットで作成 | 14.5% | 16.3% |
| L3 覚えさせて実行 | 19.4% | 17.1% |
| L4 AIエージェント化 | 54.3% | 44.3% |
カスタマーサクセスは、利用自体は平均的に広がっている職種です。だからこそ、単発の利用を自社のナレッジで任せる段階へ進めれば、成果が大きく伸びる余地があります。
なお、これはクロス集計による相関であり、因果を示すものではありません。ただ、成果を実感している層ほど使い方が深い傾向は、カスタマーサクセスでも共通しています。
CSの詰まり方|「時間が取れない」「判断できない」
上の図は、7職種全体で見た課題の全体像です。個人の課題は「どこまで任せてよいか判断できない」「出力の質」「毎回の指示・調整の手間」が上位に並びます。
では、カスタマーサクセスに絞るとどうか。最も多いのは「忙しくてAIを使う・業務に組み込む時間が取れない」(29%)、次いで「どこまで任せてよいか判断できない」「進化が速くキャッチアップできない」(ともに27%)です。日々の顧客対応に追われ、AIを業務に組み込む時間と、どこまで任せてよいかの見極めが後回しになりやすい職種だといえます。裏を返せば、自社のFAQや対応ルールを型として整え、任せる範囲を決めてしまえば、単発の利用を日常業務に組み込む余地が大きい領域です。
※個人の課題は複数回答(合計は100%を超えます)。
「使う」から「育てる」へ|CSの最初の一歩
カスタマーサクセスの伸びしろを成果に変えるには、AIを「その都度聞く」から「自社のナレッジで任せる」へ育てることが鍵になります。進め方は3つです。
- 業務を理解している人が設計に関わる:顧客対応の流れや基準を知る人がAIの使い方を設計することで、実務で使える出力に近づく
- 1つの業務から小さく始める:FAQ整備や問い合わせ対応など、頻出業務ひとつをAIエージェント化の対象にする
- 走りながら改善する:一度で完成させようとせず、使いながら学習データと手順を整えていく
突き詰めると、成果を出している層に共通するのは2つの条件です。ひとつは①学習データの整備(自社のFAQ・過去の対応履歴・対応ルールを、AIが使える形に整えること)。もうひとつは②使いながら育てる(一度で完成を目指さず、改善を重ねること)。
カスタマーサクセスなら、FAQ整備や問い合わせ対応の下書きといった頻出業務のひとつを選び、自社のナレッジや対応の型を覚えさせるところから始めるのが現実的です。「その都度聞く」から「任せられる」へ。そこに、成果を伸ばす道があります。
まとめ
調査からわかったカスタマーサクセスの現在地は、次の3点です。
- 利用率は4位(69.7%)だが、ほぼ毎日利用は30%・月数回どまりが40%と最多。日常利用・実感・意欲はいずれも7職種で最も控えめで、伸びしろが最も大きい
- 個人の課題は「時間が取れない」(29%)「判断できない」(27%)が上位。日々の対応に追われ、AIを業務に組み込む時間と線引きが後回しになりやすい
- 自社のFAQや対応ルールを型として覚えさせ、任せる範囲を決めれば、単発の利用を日常業務に組み込み成果に近づく余地が大きい
カスタマーサクセスは、利用が平均的に広がりつつある職種です。次の一手は、単発の利用を、自社のナレッジで任せられる仕組みへと育てること。そこに、成果を伸ばす道があります。
関連記事:【2026年調査】ビジネス職の生成AI活用実態|職種別の利用率・成果を8,000人調査で解説
調査レポート全文を無料でダウンロード
本記事で紹介したカスタマーサクセス職のAI活用レベル・成果実感・つまずきの詳細データは、調査レポート「ビジネス職生成AI活用実態調査(2026年版)」にまとめています。自社の現在地を客観データで把握する資料としてご活用ください。
GiftXは、各職種のAI活用を、「使わせる」で終わらせず成果まで伴走する支援を行っています。