OpenClaw 2.0への移行で最初に押さえる3点
OpenClaw 2.0は単なる画面更新ではありません。セッション、認証情報、プラグイン、モデル経路まで変更が及ぶ大規模アップデートです。既存利用者は次の3点を押さえてから更新してください。
| 確認項目 | 重要な変更 | 推奨する対応 |
|---|---|---|
| 破壊的変更 | OpenProseの同梱廃止、OpenAIモデル経路の統合 | 更新後に`openclaw doctor --fix`を実行 |
| プラグイン互換性 | 一部Plugin SDKのimport先が変更 | 外部プラグインの対応状況を事前確認 |
| 運用データ | セッションや共有状態のSQLite利用が拡大 | 更新前に設定・状態ディレクトリをバックアップ |
新規インストールでは旧設定の移行がないため、影響は比較的小さくなります。外部プラグインや自動化を使う既存環境では、いきなり本番を更新せず、バックアップと検証環境を用意するのが安全です。
公式の2026.8.1リリースノートには、変更点と移行対象がまとめられています。更新を始める前に、自社で使っている機能が含まれていないか確認しましょう。
OpenClaw 2.0の主な新機能
OpenClaw 2.0では、会話を返すだけのAIアシスタントから、複数の端末や担当者が継続的に仕事を進める実行基盤へと機能が広がりました。
過去の会話を語句で検索できる
表示可能な会話本文を完全一致の単語やフレーズで検索し、該当箇所の前後を含めて開けるようになりました。会話が増えた環境でも、以前の指示や判断を探しやすくなります。検索範囲は現在の利用者に表示権限がある会話であり、別の担当者の非公開会話が自動共有されるわけではありません。
Gateway外の端末やクラウドワーカーへセッションを移せる
ペアリングした端末やクラウドワーカーで作業を実行し、セッションのワークスペースを移動できるようになりました。準備済みのマシンやプロジェクトの初期状態を再利用できます。
移動先には元のセッションと同じ権限が無条件で付くわけではありません。実行環境、ネットワーク接続先、ファイルアクセスを個別に確認し、必要な権限だけを与える設計が必要です。
進捗カードでサブエージェントの作業を追える
再読み込みしても残る進捗カードが追加されました。サブエージェントの活動や蓄積中の編集をWebとネイティブチャットから追跡できます。複数の処理を並行させる場合でも、進行中の作業と確認待ちを見分けやすくなります。
質問カードから選択肢や自由記述で回答できる
エージェントからの構造化された質問に、カード上の選択肢、メッセージングのボタン、通常のテキストで回答できます。回答しない場合のSkipも明示されています。承認や条件分岐を含む業務では、質問と回答が同じセッションに残り、判断過程を確認しやすくなります。
対話型ウィジェットとダッシュボードを利用できる
チャット内に対話型ウィジェットを表示し、セッションのダッシュボードへ固定できます。表示結果の画像書き出しにも対応します。ウィジェットへ許可する操作やネットワーク接続先は個別に指定し、表示だけの機能とデータを書き換える機能を分けて管理しましょう。
認証情報を会話に残さず要求できる
エージェントが必要な認証情報をマスクされた入力欄から要求できるようになりました。入力値をチャット本文やモデルのコンテキストへ入れずに扱えます。保護された秘密値の置換先を承認済みの送信先へ限定する任意のプロキシも追加され、APIキーを通常のメッセージへ貼る運用を減らせます。
定期処理の権限を操作単位で承認できる
同一の定期処理に対し、完全に一致する操作だけを継続承認できます。承認内容は後から確認・取り消しでき、ジョブまたは操作が変わると再承認が必要です。自動化全体へ恒久的な権限を渡す方式より、許可範囲を狭く保てます。
音声・動画を会話の文脈として保持できる
アップロード、生成された返信、再生、再読み込みをまたいで音声・動画を会話へ保持できます。AppleとAndroidのクライアントではネイティブ再生や動画アップロードにも対応します。保存期間、共有範囲、外部モデルへ送る条件はテキストと分けて決めましょう。
OpenClaw 2.0で既定動作が変わる機能
新しい画面だけでなく、既定値が変わった機能にも注意が必要です。更新後に以前と同じ設定で同じ動作になるとは限りません。
Active Memoryと自己学習が強化された
Active Memoryが有効な個人環境では、同じエージェントの非公開会話から範囲を限定した関連文脈を参照する動作が既定になりました。グループやチャンネルは対象外で、明示設定により無効化できます。
出典条件を満たす情報を長期メモリへ整理するバックグラウンド処理と、再利用価値の高い教訓をスキル候補として取り込む仕組みも強化されています。更新後はメモリと自己学習の設定を確認してください。
セッションが日付やアイドル時間だけで自動リセットされなくなった
リセット方針を指定していない場合、日付の境界や一定のアイドル時間を越えても会話を保持するのが既定になりました。従来と同じ区切りが必要ならdailyまたはidleの方針を明示します。案件や顧客が切り替わる業務では、文脈が混ざらないようセッションの分離ルールを決めてください。
並列実行数がCPUに応じて決まる
トップレベルの同時実行数は、利用できるCPU並列度をもとに8から16の範囲で決まります。明示的に上限を設定している場合はその設定が優先されます。更新後に負荷が増えた場合は、モデルAPIのレート制限、メモリ使用量、同時実行数を一緒に確認しましょう。
AIエージェントを「どう作り、どう育てるか」を、GiftX記事制作エージェントの実物で解説。
破壊的変更は2件|doctor —fixが必要
公式リリースノートでbreakingと明記された変更は、OpenProseとOpenAIモデル経路の2件です。該当する環境では、更新するだけで完了とせず、修復処理の結果まで確認してください。
OpenProseプラグインと/proseコマンドが同梱されなくなった
組み込みのOpenProseプラグインと/proseコマンドは削除されました。既存の.proseソースファイル自体は保持できますが、上流のAgent Skillへ移行する必要があります。
openclaw doctor --fixは古い設定を整理します。OpenProseに依存する自動化がある場合は、コマンド名だけでなく、入力・出力と権限が新しいスキルで同じかを検証してください。
codex系のモデル経路がopenaiへ統合された
codex/*とopenai-codex/*のモデル参照、プロバイダー設定、保存済みセッション、自動化の経路はopenai/*へ移行します。openclaw doctor --fixはCodexランタイムを使う意図を保持しながら移行し、競合があれば運用者の修正対象として表示します。
設定ファイルの文字列だけを一括置換するのは避けましょう。認証プロファイル、モデル許可リスト、セッション内に固定された経路も対象になるため、公式のDoctorに移行を任せる方が安全です。
プラグインとSDKの互換性で確認すること
外部プラグインを使う環境では、コア本体が起動してもプラグインだけが動かない可能性があります。特にPlugin SDKの旧サブパスを直接importしているプラグインは確認が必要です。
2026年9月1日の削除ゲートに向け、設定系の旧サブパスはapi.pluginConfigまたは用途別のimportへ、チャンネル系はopenclaw/plugin-sdk/channel-outboundやchannel-inboundへ移行するよう案内されています。
インフラ系もdelivery queue、diagnostic、error、exec approvals、fetch、SSRFなどの用途別importへ分割されます。
次に当てはまる場合は、更新前にプラグイン提供者の対応版を確認してください。
- 自社開発プラグインで
openclaw/plugin-sdk/配下を直接importしている - チャンネル送受信やライフサイクルへフックしている
- 設定スナップショットや実行承認、fetch、SSRF関連の内部ヘルパーを使っている
- バージョンを固定せず、OpenClaw本体だけを先に更新する運用になっている
外部アプリからGatewayを使う場合は、公式のGatewayクライアントガイドに従い、@openclaw/gateway-clientと@openclaw/gateway-protocolを2026.8.1へそろえて固定します。パッケージとワイヤープロトコルのバージョンは別物です。
OpenClaw 2.0へ安全にアップデートする手順
更新はバックアップ、事前確認、アップデート、移行、動作確認の順で進めます。本番環境ではメンテナンス枠を取り、失敗時に元へ戻せる状態を作ってください。
1. 設定と状態ディレクトリをバックアップする
openclaw.json、エージェントのワークスペース、セッション、プラグイン設定、認証ストアを含む状態ディレクトリをバックアップします。SQLiteを利用している環境ではGatewayや関連プロセスを停止し、整合性のあるバックアップを取得します。
2. 現在の状態と更新内容を確認する
更新前に現在のバージョン、Gateway、チャンネル、プラグインの状態を記録します。
openclaw status --all
openclaw update status --json
openclaw gateway status --deep
openclaw doctor --json
Updateコマンドの公式ガイドを確認し、必要に応じてopenclaw update --dry-runで計画を確認します。外部プラグインの対応版がない場合は、この段階で本番更新を止めます。
3. OpenClawを更新する
openclaw update
再起動を別の監視サービスが管理する環境では、所有者を確認してから--no-restartを使います。Gatewayが動いたままDoctorへ進むと修復が失敗する場合があるため、停止と再起動を誰が担当するかを明確にしてください。
4. 破壊的変更を移行する
更新後、Gatewayプロセスの外から次を実行します。
openclaw doctor --fix
Doctorは対象のマネージドGatewayを停止し、設定や状態を検査して、完了後に同じサービスを再起動します。外部supervisorが管理する場合は、その管理手段で停止・起動します。
公式のDoctorガイドによると、移行や設定修復が完了しなければGatewayは停止したままになり、未完了の理由が表示されます。エラーを無視して起動せず、原因を直して再実行してください。
5. 更新後の動作を確認する
openclaw status --all
openclaw update status --json
openclaw gateway status --deep
openclaw doctor --fix
openclaw gateway restart
この順序は公式のトラブルシューティングガイドでも案内されています。利用中のチャンネルへテストメッセージを送り、モデル呼び出し、ツール実行、定期処理、外部プラグインも個別に確認します。
環境別の移行判断
| 利用環境 | 主な確認点 | 更新方法 |
|---|---|---|
| 新規利用 | 対応OS、利用モデル、初期権限 | 2026.8.1を新規導入 |
| 個人利用・標準機能中心 | メモリ、セッションリセット、同時実行数 | バックアップ後に標準更新 |
| 外部プラグイン利用 | SDK import、公式対応版、追加権限 | 検証環境で先に更新 |
| 自社プラグイン開発 | 廃止サブパス、クライアントの固定 | コード修正後に段階更新 |
| チーム・本番運用 | 役割、共有セッション、認証情報、復元 | メンテナンス枠で段階更新 |
個人環境でもOpenProseまたは旧OpenAI経路を使っていれば移行が必要です。環境の規模だけで判断せず、設定と依存関係を確認してください。
全国8,000人調査で、AIの活用方法によって生産性向上に約3.8倍の差が生まれることが判明。
OpenClaw 2.0への移行チェックリスト
-
openclaw.jsonと状態ディレクトリをバックアップした - 現在のOpenClaw、Gateway、プラグインのバージョンを記録した
- 外部プラグインが2026.8.1へ対応している
- OpenProseまたは
/proseへの依存を洗い出した -
codex/*とopenai-codex/*の参照を洗い出した -
openclaw update --dry-runの内容を確認した - 更新後に
openclaw doctor --fixが正常終了した - GatewayのConnectivity probeが正常になった
- チャンネル、モデル、ツール、自動化を個別に試した
- 共有権限と認証情報の送信先を見直した
- 問題発生時の復元担当者と判断基準を共有した
一度に全端末を更新せず、代表環境で確認してから範囲を広げると、プラグイン固有の問題を切り分けやすくなります。
OpenClaw 2.0への移行で陥りがちな3つの落とし穴
落とし穴1|いきなり全てを更新する
検証環境を省き、いきなり全ての本番端末を更新すると、プラグイン固有の不具合とコア本体の問題を切り分けられません。代表環境でバックアップと復元を試し、モデル呼び出し、チャンネル、定期処理の主要な動作が通ってから対象を広げます。更新順と停止条件も事前に決めてください。
落とし穴2|壮大な移行戦略を先に作る
全社で使う将来像や壮大な移行戦略を先に完成させようとすると、実環境の互換性を確かめるまでに時間がかかります。まず既存の1業務と1環境を選び、必要な変更、作業時間、停止時間を実測します。その結果を次の対象へ展開する方が、現実に合う移行計画になります。
落とし穴3|汎用チャットの延長で業務フローを考える
OpenClaw 2.0を汎用チャットの延長として見ると、回答が返れば成功と判断しがちです。しかし、業務フローでは前後のデータ、実行権限、承認、失敗時の復元まで確認する必要があります。会話品質だけでなく、入力から保存までの一連の処理をテストしてください。
まず1業務で新しい動作を検証する
全機能を同時に試さず、失敗しても戻せる1業務を選びます。GiftXでは、AIエージェントの対象業務選定、最小権限、承認地点、効果測定までを1業務単位で設計し、段階的な導入を支援しています。検証結果を記録し、次の判断材料として残すことも重要です。具体的な進め方はGiftX AIエージェント構築支援でご案内しています。
OpenClaw 2.0に関するよくある質問
OpenClaw 2.0と2026.8.1は同じですか?
はい。公式リリースノートでは「v2026.8.1(AKA OpenClaw 2.0)」と表記されています。更新やパッケージ固定では2026.8.1という番号を使う場面があります。
OpenClaw 2.0は新規インストールし直す必要がありますか?
通常はopenclaw updateで更新できます。ただしOpenProseと旧OpenAIモデル経路を使う環境では、更新後にopenclaw doctor --fixで移行してください。
doctor —fixを実行すると設定が消えませんか?
Doctorは修復前の設定をバックアップリングへ保存し、完全な設定を検証してから書き込みます。解析不能で復元元もない設定は部分的に上書きせずエラーで終了します。未知の設定キーを削除する場合があるため、事前バックアップと実行結果の確認は必要です。
すべての外部プラグインが使えなくなりますか?
いいえ。影響するのは変更対象のPlugin SDKサブパスや内部ヘルパーへ依存するプラグインです。利用中のプラグインごとに、2026.8.1対応版と移行案内を確認してください。
更新後にGatewayが起動しない場合はどうしますか?
openclaw gateway status --deepとopenclaw doctor --fixの結果を確認します。修復が未完了なら、表示された問題を解消してDoctorを再実行します。外部supervisorが管理する場合は操作を混在させないでください。
すぐに本番環境を更新すべきですか?
外部プラグインや自動化を多く使う環境では段階更新を推奨します。検証環境で破壊的変更、モデル経路、チャンネル、認証情報を確認し、復元手順を試してから本番へ進めてください。
まとめ|OpenClaw 2.0は新機能より移行確認が重要
OpenClaw 2.0では、会話検索、クラウドワーカー、進捗カード、ウィジェット、認証情報の安全な入力、定期処理の操作単位承認など、継続的な業務に役立つ機能が増えました。一方で、OpenProseの同梱廃止とOpenAIモデル経路の統合という2つの破壊的変更があります。
既存環境では、設定と状態データをバックアップし、外部プラグインの互換性を確認したうえで更新してください。更新後はopenclaw doctor --fixを実行し、Gateway、チャンネル、モデル、ツール、自動化まで確認して移行完了と判断します。
製品全体の概要や導入前の検討材料は「OpenClawとは?できること・使い方・料金・セキュリティを解説」で整理しています。
OpenClaw 2.0を自社業務へ安全に移行したい方へ
OpenClaw 2.0への移行では、更新コマンドだけでなく、対象業務、既存プラグイン、権限、認証情報、復元条件を一つの運用として設計する必要があります。GiftX AIエージェント構築支援では、現状整理から小規模な検証、運用定着まで1業務単位で伴走します。
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