Lyria 3.5の音楽生成|BGM制作で確認する利用条件を整理

Lyria 3.5の音楽生成|BGM制作で確認する利用条件を整理
目次

動画に合う音楽を作りたくても、AIに何を伝えればよいか、生成した曲をそのまま公開できるかで迷うことがあります。Lyria 3.5は音楽生成の選択肢ですが、利用するサービスによって操作や料金、編集できる範囲が異なります。

本記事では、Lyria 3.5の特徴、Geminiでの使い方、従来モデルとの違いを解説します。BGMを作るための指示例と、API料金、公開前に確認したい利用条件まで整理します。

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Lyria 3.5とは、Googleの音楽生成AIモデル

動画制作者が、音楽を作るモデルと操作するサービスの区別を読み取れる。

Lyria 3.5は、文章や画像をもとに、歌声や楽器を含む音楽を生成するAIモデルです。

関連記事:Geminiとは?できること・料金プラン・モデル体系とChatGPTとの違い

モデル名と利用するサービスを分けて考える

Lyria 3.5は音楽を作る仕組みの名称です。Geminiアプリ、Flow Music、APIは、その仕組みを利用するための入口に当たります。APIはApplication Programming Interfaceの略で、プログラムから機能を呼び出す接続口です。同じモデルでも、利用画面や設定、課金方法が同じとは限りません。

手動で音楽を試したいなら、Geminiアプリの音楽作成機能が入口になります。制作物を繰り返し調整する場合はFlow Musicで使える操作を確認し、プログラムに生成処理を組み込みたい場合はAPIの仕様を調べます。まず入口を決めると、自分に関係のない設定や料金を読み込まずに済みます。

音楽生成AIは、入力した意図から音を作ります。ただし、完成した曲が映像の尺や雰囲気に合うかは、実際の素材と重ねて確認する必要があります。背景音楽を意味するBGM(Background Music)では、音楽単体の印象より、音声や映像と組み合わせたときの聞こえ方も判断材料になります。

Flow MusicからGeminiアプリへ利用先が広がった

Googleは2026年7月29日付の公式発表で、Flow MusicへのLyria 3.5の展開を案内しました。その後、9月4日付の発表で、GeminiアプリやAPIでの提供を知らせています。これらは米国時間の発表日です。日本から使う場合も、アカウントに表示される機能と対象条件を確認してください。

「全世界のユーザー向け」という発表は、すべての利用経路が無条件、無制限で使えるという意味ではありません。アプリ内の表示、利用回数、APIの課金は分けて確認します。古い記事を読む場合も、どのサービスとどの時点の説明かを見ると混同を防げます。

Lyria 3.5の仕組みと従来モデルとの違い

動画制作者が、生成した曲を旋律・歌詞・歌声の要素に分けて確認できる。

GoogleはLyria 3.5について、音楽性、歌詞、ボーカル品質を改善したと説明しています。ここでの改善はベンダーの説明であり、あらゆる曲が一度で用途に合うことを保証するものではありません。

旋律・歌詞・歌声のまとまりを改善する

公式発表は、旋律の流れ、歌詞の指示への追従、声の自然さや発音を改善点として挙げています。楽器だけの曲だけでなく、歌詞とボーカルを含む制作にも使えます。日本語の歌を作る場合は、生成後に発音と歌詞の一致を試聴して確かめてください。

たとえば、説明動画に歌声入りの曲を付けると、ナレーションと歌詞が競合する場合があります。歌の表現力が上がったことと、BGMとして使いやすいことは別です。音楽に担わせたい役割を先に決めてから、歌ありかインストゥルメンタルかを選びます。インストゥルメンタルは、歌声を含まない楽器中心の音楽です。

曲の長さやテンポを意図に近づける

Lyria 3.5では、テンポや出力の長さを制御しやすくしたと案内されています。テンポは曲が進む速さです。「落ち着いた曲」のような感情だけでなく、「ゆっくりしたテンポ」「最後は余韻を残す」など、時間の流れも言葉にできます。

ただし、APIの仕様では、長さの指示は生成に影響を与えるものの、厳密な秒数を保証しません。音を映像の切り替えと完全に合わせたい場合は、生成後に音声編集や動画編集で長さを調整する工程を用意します。

「3.5 Clip・Pro」と旧モデルを混同しない

2026年9月時点のAPIドキュメントと料金表では、Lyria 3.5のモデルIDはlyria-3.5です。一方、ClipやProの名称は、旧Lyria 3のプレビューモデルとして掲載されています。日本語の紹介記事でも、数字とモデルIDを照らし合わせて読んでください。

表記モデルID確認する点
Lyria 3.5lyria-3.5現行の3.5として区別します
Lyria 3 Clip Previewlyria-3-clip-preview旧世代の短いクリップ向けです
Lyria 3 Pro Previewlyria-3-pro-preview旧世代のPro表記です

「Pro」という語だけで最新モデルと判断せず、世代を含めた名前を確認します。Geminiの有料プラン名と、音楽モデルのProという名称も別の情報です。

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GeminiでのLyria 3.5の使い方

動画制作者が、用途の決定から試聴までの具体的な作業を読み取れる。

Geminiアプリでは、音楽作成の入口からジャンルや歌の有無を選び、作りたい曲を文章で伝えます。公式発表はウェブとモバイルでの利用を案内していますが、画面表示は更新やアカウントによって異なる場合があります。

1. 音楽作成を開き、曲の役割を決める

Geminiで音楽作成の機能を開きます。表示されるテンプレートやジャンルを参考にしながら、歌ありか、楽器中心の曲かを選びます。テンプレートは発想の出発点として使い、用途に合うよう指示を補います。

最初に「何に使う曲か」を1つに絞ってください。動画の導入、説明中の背景音、短い場面転換では、必要な音の密度や盛り上がりが違います。曲名のような抽象的な言葉だけで始めるより、使う場面を書いたほうが比較の基準を持てます。

2. 用途・雰囲気・楽器・構成を伝える

プロンプトとは、AIに渡す指示文です。楽曲では用途に加え、気分、使いたい楽器、避けたい音、始まりと終わりをまとめると意図を伝えやすくなります。次は、説明動画のBGMを想定した入力例です。


操作説明動画の背景に使う、歌声なしの音楽を作ってください。

落ち着いた明るさで、テンポはゆっくりめにしてください。

ピアノと柔らかい打楽器を中心にし、強い低音は避けてください。

冒頭は静かに始まり、中盤も急に音が増えず、最後は自然に収束する構成にしてください。

人の説明音声が前に聞こえる、控えめな印象にしてください。

画像を入力する場合も、そこから何を音にしたいかを添えます。たとえば、風景写真の色調を曲の雰囲気に使いたいのか、写っている動きの速さをテンポに反映したいのかを指定します。画像だけでは意図が1つに決まりません。

3. 生成結果を用途に合わせて試聴する

曲ができたら、冒頭だけでなく最後まで聞きます。歌詞のある曲では、意図しない言葉や聞き取りにくい発音がないかを確認します。BGMなら、動画の音声と同時に再生して、説明が聞き取りやすいかを確かめてください。

再生成する際は、気になる点を1つずつ変えます。テンポ、楽器、音の強さを同時に変えると、どの指示がよかったか分からなくなります。採用した指示文と、採用しなかった理由を残すと、次の制作でも比較できます。

Lyria 3.5でBGMを作るときの確認方法

BGMの評価は「よい曲か」だけでは決まりません。聞き手が主役の情報に集中できるかを、映像と組み合わせて確認します。次の例は、制作時の判断基準です。

説明動画は音声を邪魔しないかを見る

説明動画では、言葉が密になる場面で音楽の主張が強すぎないかを確かめます。音量を下げても旋律が気になるなら、楽器や構成を変える候補になります。静かな曲でも、突然大きな音が入ると注意がそれるため、曲の途中も確認します。

同じ動画に複数の候補を重ねて聞くと、音楽単体の好みだけで選びにくくなります。音声の聞き取り、場面との一致、終わり方を同じ条件で比べてください。

場面転換用の曲は終わり方を確認する

短い場面転換では、切り替えの直後に音が不自然に途切れないかを見ます。生成した長い曲を途中で切ると、盛り上がりの途中で終わる場合があります。必要な場面の長さと、曲の収束を合わせる調整が必要です。

繰り返して使う場合も、終端と始端をつないで聞いてください。「ループ向け」と指示しただけで継ぎ目の問題がなくなるとは限りません。映像に組み込んだ状態で確認できれば、単発の試聴では気づきにくい違和感を見つけられます。

Lyria 3.5の料金とAPIの制約

アプリの利用条件とAPI料金は別です。プログラムから生成する場合は、モデル名、課金条件、出力形式、編集の対応範囲を確認します。

APIは1曲単位の従量料金

Lyria 3.5のAPI料金は1曲0.08米ドルで、無料API枠はありません(2026年9月時点、出典: ai.google.dev)。最新条件はGemini Developer API料金表を確認してください。日本円での支払額は、為替や税、請求条件によって異なります。

生成単価だけで制作費全体は決まりません。採用するまでの候補数、試聴と調整の時間、編集工程も含めて見積もります。アプリの有料契約を持っていることと、APIの従量課金を利用することを同一視しないでください。

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APIの生成と編集を分けて設計する

公式仕様では、Lyria 3.5は44.1kHzのステレオ音声を生成し、MP3に加えてWAV形式にも対応します。44.1kHzは音をデータにする際のサンプリング周波数です。制作先で指定されたファイル形式があるなら、生成時から合わせておくと変換の手間を減らせます。

現行のAPIは単発の生成で、複数ターンの対話による編集には対応していません。Flow Musicの編集画面でできることを、そのままAPIでも実行できるとは考えないでください。修正のたびに再生成するのか、生成後の音声を別の編集工程で扱うのかを決めておきます。

AIでコンテンツを内製するときに陥りがちな3つの落とし穴

音楽を生成できても、公開するコンテンツとして完成したとは限りません。用途、確認担当、制作記録がそろうと、単発の試作から繰り返せる制作へ進めます。

落とし穴1|用途を決めずに候補を増やす

曲をたくさん作っても、どれを選ぶかの基準がなければ試聴だけで時間が過ぎます。最初は1つの動画や場面に絞り、音声との相性、雰囲気、長さの条件を決めてください。基準に合わない理由を記録すると、次の生成で変える点が分かります。

落とし穴2|試聴と公開判断を省く

作った人だけで確認すると、意図しない歌詞や音の変化を見落とす場合があります。公開前に別の人が聞く工程を用意してください。曲そのものの確認と、利用条件や入力素材の確認は、担当や確認項目を分けると抜けを見つけやすくなります。

落とし穴3|採用した条件を残さない

使えた曲だけを保存しても、同じ方向性の曲を次に作れるとは限りません。指示文、使ったサービス、出力ファイル、編集内容を一緒に残します。制作の記録があれば、担当者が変わっても、どこを再利用して何を調整するかを説明できます。

検証工程を持ったうえで、まず1コンテンツを型にする

最初は、説明動画1本などの限られた制作物で、企画、生成、試聴、編集、公開判断を通してみてください。まず1コンテンツを型にすることで、生成だけでは見えなかった確認作業も把握できます。再利用できる指示と確認項目がそろってから、対象の制作物を増やします。

制作体制やAIを使う工程の設計は、GiftXのAI活用コンテンツ制作支援でも相談できます。

Lyria 3.5で生成した音楽を公開する前の注意点

商用利用の判断では、利用したサービスの規約と、入力・出力の内容を確認します。「AIが生成した」という理由だけで、第三者の権利に関する確認が不要になるわけではありません。

利用したサービスの条件を確認する

Gemini APIの追加利用規約は、Googleが生成物の所有権を主張しない一方、利用者が生成物の使用に責任を負うと定めています。似た出力が他の利用者にも生じる可能性も示しています。日本での利用でも、所有権を主張されないことと、権利侵害がないことや独占利用できることは分けて考えてください。

これはAPIの規約についての説明です。GeminiアプリやFlow Musicを使った場合は、そのサービスと契約に適用される条件を確認します。依頼を受けて制作する場合は、納品先のAI生成物に関する方針も合わせます。

入力素材と生成曲を確認する

APIの公式ドキュメントは、特定の歌手の声や既存の歌詞を求める入力を、安全フィルタが遮断すると説明しています。目的の雰囲気は、アーティストの模倣ではなく、楽器、テンポ、曲調で伝えるほうが用途を説明しやすくなります。

生成音声にはAI生成を識別するためのSynthIDが付与されます。ただし、識別の仕組みがあることは、公開先の表示ルールへの対応や権利確認の代わりにはなりません。入力に使った画像や文章の利用権限も含め、公開できる状態かを確かめます。

Lyria 3.5のよくある質問

GeminiアプリでもAPIと同じ料金ですか?

同じではありません。API料金表の1曲単位の従量料金を、そのままGeminiアプリの料金として扱わないでください。アプリの契約と利用表示、プログラムから使うAPIの課金を分けて確認します。

曲の秒数を正確に指定できますか?

長さを指示して生成に反映させることはできますが、API仕様は厳密な秒数を保証していません。映像の尺に合わせる必要がある場合は、生成後に切り取りや終わり方の調整を行う前提で進めます。

APIで曲の一部分だけ修正できますか?

現行APIは複数ターンの編集に対応していません。Flow Musicの編集機能とAPIの仕様は区別してください。生成済みの音声を調整する場合は、目的に合う編集環境と利用条件を確認します。

まとめ

Lyria 3.5は、文章や画像から音楽を生成するGoogleのAIモデルです。Geminiアプリから試せますが、Flow MusicやAPIとは操作、料金、編集範囲を分けて理解する必要があります。旧Lyria 3のClip・Pro表記も、現行3.5と混同しないようにしてください。

まずは1つの制作物で、用途を決めて生成し、実際の映像と重ねて試聴します。利用条件と素材を確認する検証工程まで含めて、1コンテンツを型にすることが、継続して使える制作手順につながります。

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対象のコンテンツと品質面の課題を整理するところから相談できます。まずは1つの制作物で工程を確かめ、再利用できる型を一緒につくりましょう。

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石塚 悠悟
AIエキスパート

GiftX共同代表。デロイト トーマツ/PwCでのコンサルティングを経て、ホットリンク執行役員として事業領域全体(デジタルマーケティング支援事業・SaaSプロダクト事業)・バックオフィス領域を統括。AI活用・業務自動化・エージェント構築の実務に注力。

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