経営層ほどAIを使いこなす|役職別に見る現在地
AIの使い方の深さは、役職が上がるほど高くなります。利用率そのものは管理職が最も高いものの(一般社員42%・管理職69%・経営者・役員62%)、業務にどう組み込むかを見ると差がはっきりします。業務そのものをAIエージェントに任せるレベル(L4)に到達している割合は、経営者・役員が21%と、一般社員(8%)の2倍以上です。
| 役職 | チャット止まり(L1+L2) | L3 覚えさせて実行 | L4 AIエージェント化 |
|---|---|---|---|
| 一般社員 | 74% | 18% | 8% |
| 管理職 | 66% | 21% | 13% |
| 経営者・役員 | 55% | 24% | 21% |
※役職別は参考値(経営者・役員 n=62)
役職による差は、使い方の深さだけではありません。成果の実感そのものも、役職が上がるほど高くなります。生産性が「明確に上がった」と答えた割合は、一般社員17%、管理職23%、経営者・役員29%。深い使い方と成果実感が、役職とともに階段状に上がっています。
| 役職 | 生産性が明確に向上 |
|---|---|
| 一般社員 | 17% |
| 管理職 | 23% |
| 経営者・役員 | 29% |
※役職別は参考値(経営者・役員 n=62)
経営層は判断業務が多く、AIに任せる範囲を自分で決められる立場にあります。だからこそ、単なるチャット利用にとどまらず、業務に深く組み込む使い方まで進みやすいと考えられます。
使い方の4レベル|経営層はエージェント化まで進む
AIの使い方は、業務への組み込み度合いで4段階に分けられます(L1 チャットで質問/L2 チャットで作成/L3 覚えさせて実行/L4 AIエージェント化)。全体では約7割がチャットで完結するL1・L2にとどまります。
その中で経営者・役員は、自社の情報や過去の判断を覚えさせて繰り返し使うL3・L4へ、最も進んでいる層です。裏を返せば、現場(一般社員)はまだチャット利用が中心で、活用の深さに役職間で差があるということです。この差が、次の課題につながります。
成果を分ける「深さ」|チャット止まりとの差は約3.8倍
使い方の深さは、成果に大きく効きます。全職種で見ると、チャット止まり(L1+L2)の層で生産性が明確に向上した人は14.3%。AIエージェント化(L4)の層では54.3%と、約3.8倍になります。
| 活用レベル | 生産性が明確に向上 | 成果・品質が明確に向上 |
|---|---|---|
| L1 チャットで質問 | 13.8% | 19.2% |
| L2 チャットで作成 | 14.5% | 16.3% |
| L3 覚えさせて実行 | 19.4% | 17.1% |
| L4 AIエージェント化 | 54.3% | 44.3% |
深く使うほど成果が跳ねる、という関係は明確です。経営層自身がこれを体現している一方で、この深い使い方が現場に広がっていないことが、全社の成果を伸ばす上での課題になります。
なお、これはクロス集計による相関であり、因果を示すものではありません。
最大の壁は「個人任せ」|組織の課題
上の図は、7職種全体で見た課題の全体像です。個人の課題は「どこまで任せてよいか判断できない」「出力の質」「毎回の指示・調整の手間」が上位に並びます。
一方、組織の課題として最も多く挙がったのが「AI活用が個人任せになっている」で、全体で26%。経営職に限ると37%と、さらに突出しています。使える人は使いこなしているが、その知見が個人にとどまり、組織の仕組みになっていない。これが、経営が向き合うべき最大の壁です。
意欲が足りないわけではありません。「もっと活用したい」と答えた人は約6割(59.9%)。足りないのは、AIを業務に組み込む仕組みと、蓄積されるナレッジのほうです。ここを整えるのは、現場ではなく経営の役割です。
※組織の課題は複数回答(合計は100%を超えます)。
経営が主導する|「個人任せ」から「組織の仕組み」へ
AI活用を全社の成果につなげるには、経営が主導して「個人任せ」を「組織の仕組み」へ変えることが鍵になります。成果を出している層に共通する進め方は3つです。
- 業務を理解している人が設計に関わる:各業務を知る人がAIの使い方を設計することで、実務で使える出力に近づく
- 1つの業務から小さく始める:全社一斉ではなく、成果の出やすい業務ひとつをAIエージェント化の対象にする
- 走りながら改善する:一度で完成させようとせず、使いながら学習データと手順を整えていく
突き詰めると、成果を出している層に共通するのは2つの条件です。ひとつは①学習データの整備(自社の情報・業務手順を、AIが使える形に整えること)。もうひとつは②使いながら育てる(一度で完成を目指さず、改善を重ねること)。
経営者なら、自身の使いこなしを個人の武器で終わらせず、成果の出やすい業務から全社展開の型をつくり、仕組み・ナレッジ・学ぶ機会を整えることが現実的な一手です。「個人任せ」から「組織の仕組み」へ。そこに、全社の成果を伸ばす道があります。
まとめ
調査からわかった経営層とAI活用の現在地は、次の3点です。
- AIを最も使いこなしているのは経営層。AIエージェント化(L4)到達は経営者・役員21%で一般社員(8%)の2倍以上、生産性の明確向上も29%対17%と役職で階段状に高い
- 深く使うほど成果は跳ねるが、その使い方が現場に広がっていない
- 最大の壁は「AI活用が個人任せ」(経営職37%)。個人の知見を組織の仕組みへ変えるのは経営の役割
経営層は、AIを最も使いこなしている層です。次の一手は、その使いこなしを個人の武器で終わらせず、組織の仕組みへと広げること。そこに、全社の成果を伸ばす道があります。
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