「やったことがない」を「AIとならできる」に。未経験の仕事を立ち上げる進め方

「やったことがない」を「AIとならできる」に。未経験の仕事を立ち上げる進め方
目次

「やったことがないから無理」と思っていた仕事も、AIと一緒なら、まず形にできるようになりました。少し前には、撮影をせずに、自分が話しているように見えるAI動画も初めて作りました。

特別な知識があったわけではありません。全体像を調べ、良し悪しの基準をつくり、実際の作業をAIに手伝ってもらう。この記事では、未経験の仕事を立ち上げるときに、私が実際にやっている進め方を書いてみます。

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「やったことがないからできない」で止まらなくなる

未経験の仕事で難しいのは、答えがわからないことだけではありません。何を調べればいいのか。どこから手をつければいいのか。そもそも、自分が何をわかっていないのかもわからない。最初の段階では、この状態になりがちです。

以前なら、詳しい人を探すか、手探りで時間をかけながら進めるしかありませんでした。運よく社内に経験者がいれば相談できますが、そうでなければ、なかなか最初の一歩を踏み出せません。

未経験の仕事で足りないものを分けると、大きく3つあります。

  • 何を、どの順番で進めるのかという全体像
  • 良いアウトプットと悪いアウトプットを見分ける目
  • 実際に手を動かして形にする力

経験者は、これらを時間をかけて身につけています。

一方で今は、その一部を最初からAIに借りられます。全体像を整理してもらい、良し悪しの基準を言葉にしてもらい、実際の作業も手伝ってもらう。

この3つがそろうことで、「やったことがないから無理」ではなく、「やったことはないけれど、まず進めてみる」に変わります。

未経験の仕事をAIエージェントと立ち上げる進め方の図。調べる・目を持つ・手を動かす・裏を取るの4ステップと、経験者から借りる3つ(全体像・目利き・手を動かす力)

まずは、調べ方を設計して深く調べる

未経験の領域で最初にやるのは、とにかく調べることです。ここでどれだけ深く調べられるかで、その後の進めやすさがかなり変わります。

まず、何を調べるか

調べるといっても、最初から最新情報や細かいノウハウを追いません。まず押さえたいのは、その領域の全体像です。ゴールは何か。王道の進め方はどういう順番か。どこでつまずきやすいか。前提として知っておくべき用語は何か。

この見取り図を先に持っておくと、その後の工程で迷いにくくなります。逆に、全体像がないまま細かい情報を集め始めると、何が重要なのかを判断できず、調べるだけで時間が過ぎていきます。

AIに「調べて」と頼むだけだと、答えは浅い

ここで気をつけたいのが、AIに「◯◯について調べて」と一言頼むだけでは、表面的な一般論にとどまりやすいことです。どこかで見たようなまとめは出てきますが、そのまま実務で使えるほどの深さにはなりません。

深く広く調べるには、調べ方そのものを設計する必要があります。あわせて、調査の途中で出てきた専門用語や前提知識でわからないものは、その場でAIにかみ砕いてもらいます。詳しい人に、その都度質問しながら進める状態をAIでつくるイメージです。

調べ方を「型」にして、深く広く調べる

GiftXでは、調査をその場かぎりの一回の依頼で終わらせず、繰り返し使える「型(skill)」にしています。実際に、用途の違う調査の型をいくつか用意し、テーマや目的に合わせて使い分けています。

型にするときに意識しているのは、主に次の4つです。この考え方は、普段AIに調査を頼むときにもそのまま使えます。

  • 観点を分けて、並列で調べる

一つの検索語だけで終わらせず、事例、料金、他社比較、つまずきやすい点など、切り口を分けて調べます。

  • 一次情報や公式情報までたどる

まとめ記事だけで済ませず、元の発表や公式ドキュメントまで確認します。

  • 出典を残す

あとから内容を確かめられるように、どこに書かれていたのかを必ず残します。

  • 深掘りする順番を先に決める

何をどの順番で埋めていくのかを決めてから、調査を進めます。

「ただ調べる」から「調べ方を設計する」に一段上げるだけで、詳しくない領域でも、実務に使える情報までたどり着きやすくなります。

良い例と悪い例をAIに比べてもらって、「目」を持つ

調べて全体像をつかめても、それだけではまだ足りません。次に必要なのが、良いものと悪いものを見分ける「目」です。未経験の仕事では、何かを作れても、それが本当に良いのかを自分では判断しにくいものです。経験者なら、これまで見てきた事例や失敗をもとに、どこが良くて、どこが弱いのかをある程度見分けられます。未経験者には、その判断材料がありません。

そこで、その領域の質が高いアウトプットと、そうでないアウトプットをいくつかAIに見せて、違いを言葉にしてもらいます。良い例には何が共通しているのか。逆に、どんな失敗が起きやすいのか。評価するときは、どこを見ればいいのか。

こうした観点を先に整理しておくと、自分で成果物を見たときにも、「なんとなく違う」で終わらず、どこを直せばいいのかがわかるようになります。

目利きの部分を先に明確にしておくと、その後の叩き台づくりと修正がかなり進めやすくなります。

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使ったことのないツールも、叩き台づくりも、AIに任せる

全体像が見えて、良し悪しを判断する基準も持てたら、次は実際に手を動かします。ただ、未経験の領域ではここもハードルになります。成果物の作り方がわからないうえに、使うツールも初めてということが少なくありません。ここもAIに任せます。

使ったことのないツールでも、AIが動かしてくれる

AIエージェントに指示を出せば、自分が触ったことのないツールでも裏で操作して成果物まで作ってくれます。ツールの使い方を覚える前に、まず形にできるということです。

たとえば私がAIアバター動画を作ったときも、動画生成や音声生成のツール(HeyGen、ElevenLabs、ffmpegなど)は自分では操作していません。指示を出したのはAIエージェント(Claude Code)だけで、あとは裏で各ツールが動いていました。同じように、複雑なExcelマクロやデータ分析ツールも、まずはAIに動かしてもらいながら形にできます。

いきなり完成を狙わず、叩き台から直していく

もう一つのコツは、最初から完成品を狙わないことです。まずAIに叩き台を作ってもらい、前の章で持った「目」を使って違和感を見つける。そこをAIに直してもらう。このやり取りを何度か繰り返す方が、立ち上がりは速くなります。

このとき人がやるのは判断です。どれを採用するか、何がおかしいかを決めるのが人。手を動かす作業はAIが担う。この役割分担にすると、未経験の仕事でも成果物を形にしやすくなります。

AIの答えは、一次情報と突き合わせて裏を取る

ここまで進めれば詳しくない領域でもある程度は形になります。ただ最後に外せない工程があります。裏取りです。

詳しくない領域ほどAIの間違いに自分では気づけません。しかもAIはそれらしく答えるので内容に違和感がなくても事実とは限りません。だから出てきた情報は一次情報や社内の正解と突き合わせて確認します。調査の段階で出典を残しておくのもこの確認をすぐできるようにするためです。

間違いの影響が大きい領域ではもう一段の安全網を用意します。契約や法務、会計、対外的に出す数値、分析から導いた結論などです。こうした領域は自分たちで裏を取ったうえで詳しい人にも一度レビューしてもらいます。AIで立ち上げを速くできるようになったからこそ最後の人のチェックがより重要になります。

初挑戦のAIアバター動画を、調べながら全部AIで作った

少し前に、私(飯髙)が話しているように見えるセミナー動画を作りました。ただ、撮影は一切していません。写真と音声サンプルから、顔も声もAIで再現したアバター動画です。もちろん、私にとっても初めての挑戦でした。

進め方は、この記事で紹介した通りです。まず全体像を調べ、AIエージェント(Claude Code)に設計やツール選定まで手伝ってもらいながら、一つずつ形にしていきました。実際に操作したのはClaude Codeだけで、動画生成や音声生成などの各ツールは裏側で動いています。

もちろん、一発ではうまくいきませんでした。声を本人に近づけると発音が不自然になったり、発音を優先すると本人らしさが薄れたり。実際に作ってみて初めてわかることも多くありました。

音声を修正するたびに映像も作り直しになるので、まず音声を固めてから映像に進む。このような段取りも、試行錯誤しながら見つけていきました。

このあたりの詳しい工程は、以下の記事にまとめています。

関連記事:操作したのはClaude Codeだけ。アバターが喋るセミナー動画を、まるごとAIで作ってみた

「やったことがない」で止まらなくなった

AIと共に仕事を進めるようになってから、「やったことがないからできない」で止まることが減りました。

もちろん、AIだけですべてが完結するわけではありません。最後に判断するのは人です。ただ、その前の調査や整理、たたき台づくりをAIに手伝ってもらうことで、まずやってみようと思える仕事は増えました。

GiftXが掲げる「ひとの温かみを宿した進化を。」というミッションも、この考え方につながっています。調査や作業はAIで速くする。その分、人は判断や工夫、相手への配慮に時間を使う。

「やったことがないから無理」ではなく、「やったことはないけれど、AIとならまずやってみられる」。仕事を始めるときの感覚が、少しずつ変わってきています。

飯髙 悠太
マーケティングエキスパート

GiftX代表。ベーシック執行役員、ホットリンクCMOを経て2022年にGiftX創業。200社以上のマーケティング支援実績を持ち、AI×マーケティング領域の実践支援にも注力。著書に『BtoBマーケティングの基礎知識』『僕らはSNSでモノを買う』など、5冊のマーケティング専門書を執筆。

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